わんちゃんキューピット…ini ページ3
ko-chan 視点
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『こうちゃんおはよう』
朝少し寝坊していつもより遅くオフィスにつくと後輩のAに挨拶されて目を向ける。
「え、髪青くない?」
昨日までほぼ黒髪だったAの髪が青というか、水色になっていて目を疑った。わんちゃん俺がまだ寝ぼけてるだけかと思って目を両手で擦るもやっぱり青い。
『青くしたの。どう?』
「似合ってるけどどうしたの急に」
今まで黒髪だったからギャップはあるものの、すこし気だるげなAの青髪は何ら違和感無くむしろ似合っている。
「大方、気合い入れる為とかでしょ」
俺の疑問に答えたのは同じく後輩の乾だった。Aと乾は入社時期が同期で犬猿の仲まではいかないけどよく言い合っている。
今も乾の登場でAはさっと俺の後ろに隠れていた。
「気合い?」
「そう。こうちゃん今日何の日か忘れたんすか?」
何の日かって、2月の中旬の今日は…
「バレンタインか!」
「どうせAのことだから、本命にチョコあげるのに気合い入れる為にイメチェンしたとかだろ」
お前入社する時も気合い入れる為にピアスあけたんだもんな、そういじめっ子の様に乾がカラカラ笑う。
言われてみれば、何かしらの節目にAは少しずつ見た目を変化させてきていたかもしれない。
『そうだけど、わるい?』
「悪くは無いけど、まぁ頑張れよ。」
ん?
会話が終わって立ち去ろうとした乾の背中を、いつの間にか俺の後ろかは出てきていたAが掴む。
「…何?」
『今頑張ってるの!』
そう、顔を真っ赤にして何かを乾に押し付けながら言い放ったAはオフィスの外に駆け出して行った。
乾は押し付けられた白い紙袋をやれやれと開くと中から手紙。
手紙を見るとあいつ!と言いながらAの走っていった方へ乾も駆けて行った。
走る乾が落とした手紙をちらっと見ると、告白の言葉が簡潔に書かれていた。
どうやら両思いらしい。何で俺の目の前で一部始終が起きたかは謎だけど。
.バレンタイン遅刻しました
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作者名:n | 作成日時:2024年2月6日 18時