汝、…izw ページ35
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「だいぶ増えたなぁ」
拓司がマジマジと私の本棚を見る。
『まぁ、誰かさんが色々やらかしたからね』
私と拓司の約束。
相手を怒らせたり悲しませたりしたら、1つ贈り物をすること。
受け取ったら、それでその話を終わりにすること。
付き合い始めてすぐの頃、拓司に約束を忘れられて5時間放置された挙句連絡がつかなかった時(拓司はテレビの収録で、スマホを触る所じゃなかった。)、
こういう、相手を責められないけど気持ちの行き場がないのが困るという話をして、2人で決めた。
拓司が何かした時には、私に本を1冊。
私が何かした時には、拓司に衣服を1着。
お詫びの品ってことだけど、それだけじゃなくて。
相手が何を貰うと嬉しいか、考えた背景が見えて何となく許せてしまうのだ。
こうやって並ぶと圧巻で、1冊1冊に篭った謝罪の気持ちは振り返ると懐かしい思い出になっている。
『それで、今日は何の本買ってきてくれたの?』
今回は拓司が私に最初にくれたお揃いのリングをなくしてしまった。
数少ないお揃いの物で大切にしていた分、堪えた。
「うん、それなんだけどさ。」
拓司は分厚い本を私の手に乗せる。
表紙も背表紙も文字はなく、大きさの割に軽い。
『これ、箱?』
ページを捲ろうとして気づく。
紙ではないようだ。
「そう、開けていい?」
頷くと、本の形をした箱を開け、何かを取り出す。
部屋の電気を受け、キラキラする物を。
そして、傅き、私の手を取った。
「これからもAに沢山の本を贈る事になるかもしれない。それでも、俺は君を愛してるよ。だから、」
結婚してください。
その言葉に涙が溢れる。
私の薬指で輝く鉱石。
今まで見たもので1番綺麗かもしれない。
「……返事は?」
『……はいっ!』
病める時も健やかなる時も、本を贈る時も衣装を贈る時も、貴方を愛すると誓います。
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初伊沢さん…難しい。
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nacco(プロフ) - Nulla.さん» コメントありがとうございます!本当だ!全部違ってました…ご指摘ありがとうございました。 (2019年12月4日 17時) (レス) id: 11a871ef0a (このIDを非表示/違反報告)
Nulla.(プロフ) - コメント失礼します!川上さんの拓郎の郎って[朗]じゃないですかね?勘違いでしたらすみません!更新頑張ってください! (2019年12月4日 16時) (レス) id: d3e911df95 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - こんにちは、楽しく読ませていただいております!!リクエストで山本さんとの激甘、甘など読みたいです!できればいくつかの場面で読みたす!お時間ある時にでもよろしくお願いします! (2019年12月1日 6時) (レス) id: da4a91ac36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:n | 作成日時:2019年11月26日 8時