蜂蜜のように溶ける…kwkm ページ4
あまり得意ではないコーヒーを飲みに最近通っているお店がある。
大学とオフィスのちょうど中間にあり、あの夏の茹だる様な暑さでバテ、とりあえず冷気と水分を、と入ったその店にいた店員さんに一目惚れしてしまったことから、暑さも和らぎ枯葉は落ち、そろそろ年末の足音が聞こえるようになってきた今も足繁く通っていた。
Aさん…いるかな
カランカランと子気味よく鳴るベルに反応し、奥から出てくる店員。残念、Aさんではなかった。
お気に入りの奥まっていて、でも人の動きが良く見える席に座ってブレンドコーヒーをオーダーする。
本当は、カフェオレとかジュースの方が好きだ。
でも何となく、コーヒーが飲めないんだと思われたくなかった俺の小さなプライド。メンバーに知られたら笑われるんやろな。嫌やなぁ。
コーヒーが来るまで、広いテーブルに資料を広げる。今日は後輩の作ったクイズの校閲もあるし、自分の論文も書かねばならない。やることが多くて目が回りそうだが、やらなくてはと気合いを入れた所でコーヒーが来た。
一口啜る。苦い。
砂糖を入れて誤魔化そうとシュガーポットを開けると、何と空だった。
困ったなぁと思い顔を上げる。
あ、いた。
少し慌てた様子で歩くAさんが視界に入る。
「すみませーん」
『はーい！お伺いします』
呼びかければいつもの明るい笑顔で応えてくれる。あぁ、この顔が見たくて来てるんやなぁ。
ほっと癒された所で、砂糖がないことを告げるとAさんは『わー！！ごめんなさい、今入れますね！』とワタワタしながら厨房へ入っていった。
『失礼致しました。ところでお客様、はちみつはお好きですか？』
「え、嫌いではないですけど」
『実は、私が最近はちみつコーヒーにハマってまして。良ければお客様にもお試し頂ければなぁと思って』
そう言うAさんの手には、パンケーキにかける用のハニーポットが握られていた。
「いいんです？俺パンケーキも何も頼んでないのに」
『はい！店長からも、お客様に試してもらって評判が良ければメニューに加えようって言われてるんです。』
勿論、嫌なら良いですからね！
と付け加えながら、ハニーポットをテーブルに置いて行ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nacco(プロフ) - Nulla.さん» コメントありがとうございます！本当だ！全部違ってました…ご指摘ありがとうございました。 (2019年12月4日 17時) (
レス) id: 11a871ef0a (このIDを非表示/違反報告)
Nulla.(プロフ) - コメント失礼します！川上さんの拓郎の郎って［朗］じゃないですかね？勘違いでしたらすみません！更新頑張ってください！ (2019年12月4日 16時) (レス) id: d3e911df95 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - こんにちは、楽しく読ませていただいております！！リクエストで山本さんとの激甘、甘など読みたいです！できればいくつかの場面で読みたす！お時間ある時にでもよろしくお願いします！ (2019年12月1日 6時) (レス) id: da4a91ac36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：n | 作成日時：2019年11月26日 8時
