私まだ…ymmt ページ27
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１年半通い詰めた塾に、一つの紙を持って走っていく。
どうしても、私の口から言いたくて。他の誰かが先に話してしまわないように。
息が、上がっていく。
いくら３月とはいえまだ上旬。吐く息も白い。
初めてこの場所に来たときは、まだ暑く制服も半袖だったのに。
２度目の夏を過ぎ、そして２度目の冬がもうすぐ終わろうとしている。
ガラス戸を開け、塾長への挨拶もそこそこにタイムカードを切り塾内を見渡す。
約束した人の姿は見当たらない。
仕方がないので自習室へ行き、コートを脱いで息を整える。
早く、早く伝えたいのに。
「Aちゃん、」
頭の上から聞こえた声に振り替える。
それは、私が今一番会いたかった人。
『…山本先生』
「聞いても、良いのかな」
恐る恐る、聞いてくる先生。
その眼には不安の色が見えた。
『はい、受かりました…！』
「やったーーー！！」
周りが振り返る程の大きな声を出して喜ぶ先生。
私のことなのに、その姿を見れたことが、志望大学に合格したことよりも嬉しく感じた。
『先生のお陰です。ありがとうございました。』
「ううん、Aちゃんの努力の成果だよ。頑張ったね」
本当に、偉い！と私の頭を撫でてくれる先生。
高２の前期のテストがあまりにも酷くてお母さんに入れられた個別塾で、山本先生は最初からずっと教えてくれた。
その冬に行きたい大学が決まった時はすぐ逆算して学習計画をたててくれた。
成績が伸びたり、解けなかった問題が解けるようになった時には沢山褒めてくれた。
スランプに陥った時にも励ましてくれた。
理系の学部なのに、文系科目の雑学にも詳しくて、山本先生の話しは学校の授業よりずっと面白かった。
毎週3回の90分間は、2人きりのデートみたいでドキドキした。
『でも、もう山本先生に会えないのは寂しいです。』
「今日で退塾だもんね、俺も寂しいよ」
「でもさぁ、来月から花の大学生活だよ。
沢山素敵な出会いがあるよ。」
そういう先生の眼中には私の姿はないことは明白で。
ずっと秘めていた言葉は言葉にすることは出来なかった。
(ねえ、先生)
(私、まだまだ山本先生の隣にいたいよ)
(私、まだ女子高生でいたいよ)
＿＿＿＿＿＿＿
地.獄.先.生./.相.対.性.理.論..
鬼のように季節外れ。
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nacco(プロフ) - Nulla.さん» コメントありがとうございます！本当だ！全部違ってました…ご指摘ありがとうございました。 (2019年12月4日 17時) (
レス) id: 11a871ef0a (このIDを非表示/違反報告)
Nulla.(プロフ) - コメント失礼します！川上さんの拓郎の郎って［朗］じゃないですかね？勘違いでしたらすみません！更新頑張ってください！ (2019年12月4日 16時) (レス) id: d3e911df95 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - こんにちは、楽しく読ませていただいております！！リクエストで山本さんとの激甘、甘など読みたいです！できればいくつかの場面で読みたす！お時間ある時にでもよろしくお願いします！ (2019年12月1日 6時) (レス) id: da4a91ac36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：n | 作成日時：2019年11月26日 8時
