マーガレットを君に１

＃３２ ページ32

せっかくの休みも何もしないまま土曜日がもうすぐ終わる


テレビを眺めているとスマホが震えた


頭だけ上げて覗き込むと"渡辺翔太"の文字が目に入った



飛び起きてスマホを耳にあてる



渡「もしもし？」


『、もしもし』


渡「今、平気？」


『はい』


渡「ウチに置いてるもの、どうする？」



翔太くんの家に置いてたもの…？


あ、ルームウェア、、


少しでも可愛いって思ってもらいたくて奮発したやつ…



渡「A？」


『…捨てて下さい』


渡「わかった」



スマホを耳から離し赤いボタンを押した



そんなことで、電話してこないでよ、


電話一つでも、まだ期待しちゃうんだよ…



こんなに未練を持ってるのもきっと私だけ



翔太くんには初めてのことを沢山教えてもらった


一緒に過ごした日々を思い出し頬に涙が伝う



でも、今までの涙と少し違う


唯が言ってたように、無理に忘れようとしなくなってから少し気持ちが楽になった







日曜日も夕方になる頃、佐久間から電話がかかってきた



『もしもし？』


佐「パピコ半分こしねぇ？」


『え？』


佐「公園に集合な！来いよ！」


『え！ちょっ、まって、』



もう電話切ってるし


てかなに今の小学生みたいな約束



伊達メガネだけかけて家を出る


もう薄暗くなって子ども達も帰った公園に、一人ブランコに乗っている大人の姿


もうこの光景も見慣れてしまった



佐「桜、咲きかけてんじゃん」


『ほんとだ、気付かなかった…』



佐久間の隣に腰をかける



佐「どうぞっパピコっ」


『あはっ、そんなCMあったよね！ありがと』


佐「え！Aも覚えてる？」


『覚えてる覚えてる』


佐「これ好きな子とシェアすんの憧れだったんだよね」


『あーめっちゃ分かる！』





佐「叶ったわ」


『ん？』



横を見ると優しく微笑んでいる佐久間がいた



佐「俺、Aのことが好き」




『、え？えと、あの、』


佐「だめ！まだ返事しないで！」


『へ、？』


佐「俺のこと、好きにさせるから、それまで返事はいらない」


『ふっ、なに、その自信、』


佐「まじ、覚悟しとけよ」



にひっと笑ってパピコを頬張る佐久間





佐「スッピンだけど佐久間だしいっか〜、って思って来たっしょ」


『…思いました』


佐「そういうとこも、好き」


『なっ、！？』



からかわれてるわけじゃない


本気で言ってくれてるってことは分かる





え、まって、いつから？

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