青春切符【snr】 (ページ10)

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駅まで着いて、2人で改札をくぐる。

ここからはお互い反対のホームだ。

彼女の方面が終電まであと3分。俺のは8分。

Aは少し泣きそうだった。

「あかん、そんな顔したら。今日、出会えて良かった。ありがとう」

「うん…っ」

最後に彼女を抱きしめた。今度はこちらがリズムを背中にとる。

「ほら、笑って」

顔を見ると、ニコッと笑った。昔の彼女がいた。

「これで終わりだね」

その言葉に涙が滲んだ。

「千羅くんも笑ってよ」

「…幸せでいてな」

無理やり作った笑顔は昔の俺のようだっただろうか。

別れを告げる合図がなった。終電のアナウンスだ。

「それじゃあ、元気でね」

手を振る彼女に俺も手を振った。

階段を降りていった彼女を最後まで見送る。

最後の最後まで見送ったけど、視界がぼやぼやしていてよく見えなかった。

本当にありがとう。さよなら。A。