(柳田)片手で外したネクタイの行方 ページ25
「…なに？」
会社の飲み会。気づけばローテーションなんて先輩方が盛り上がったことで、私は同期である柳田くんの隣に座っているのだけれど。
なんていうか、ね。
「なんかついてる？」
いつもは見ないような柳田くんがそこにいて。
すこし赤くなった頬とか、耳とか。
緩められたネクタイとか、その隙間から見える白い肌とか。目を反らせない。
柳田くんは酔っ払っているのか素なのか、気にせずに距離を詰めてくる。
「A？」
「な、んでもない」
「そ」
そう言って柳田くんは、何杯目かわからない梅酒を飲み始めた。私も気まずさを逸らすように、目の前にあるグラスに手を伸ばす。
周りはわちゃわちゃしてて、同期である仲の良い子は先輩と王様ゲーム！なんて盛り上がってる。その様子を眺めながらぼんやりと見つめた。
…ああ、頭がくらくらする。飲みすぎたかもしれない。
「A飲んでるかー？」
「あ、はい！飲んでます！」
「飲め飲めー」
そう言って先輩は私のグラスに飲み物を注ぎ始めた。ああ、これは一気しろってことでしょうか。ましてや、日本酒ストレートだなんて。
決心して口をつけるけど、独特の匂いといい、舌に当たるだけでも身体が熱い。
そのまま固まってれば、ぱっとグラスを奪われた。振り向くのもつかの間、グラスの中の日本酒は彼の中に飲み込まれていく。
「おお、良い飲みっぷりだな」
「ありがとうございます」
先輩はそれを見て満足そうに次の席に向かった。
柳田くん、大丈夫？そう言った私の声に彼は反応して、ふと手に温もりを感じた。
ちょっと、無理かも
私の手を掴み立ち上がる柳田くん。
「ちょっと俺、先帰りますね。こいつも」
「柳田持ち帰りかよー」
「そんなんじゃないっすよ。お先です」
柳田くんは私の鞄と自分の鞄を掴みスタスタと出口へ。なんなの、この展開は。いっこうに手を話す様子もなく彼はただただ歩き出す。
花の金曜日だからか、周りには私たち以外にも飲んできたであろう人たちで街は溢れかえってて。
「柳田くん、」
私の声に立ち止まり振り返る。
その様子はさっきの彼とはまた違って。私の手を掴んでない手で、自分の首もとに手をかける。
スルリととれるネクタイを見つめていれば、不敵に彼は微笑んだ。
片手で外したネクタイの行方
title.すいせい
やっぱ、持ち帰りしていい？
そんなの聞く柳田くんは計算高いのかなんなのか。
続く
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maruyamaryuh(プロフ) - 更新期待してます!! (2017年7月30日 8時) (
レス) id: b5f2cd076b (このIDを非表示/違反報告)
ayuu(プロフ) - リリさん» はじめまして！ありがとうございます(●' '●)ちょっとペースト落ちつつありますが一生懸命書きますね(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年8月1日 23時) (レス) id: 24001718ca (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - 初めまして。いつもお話読ませていただいています(o^^o)どれも胸がきゅん、となる素敵なお話ばかりで癒されています。これからも楽しみにしていますね(^ ^) (2016年8月1日 0時) (レス) id: 67d32b43af (このIDを非表示/違反報告)
ayuu(プロフ) - 楓さん» ありがとうございます( ^ω^ )これからも少しでも幸せになっていただければと思いながら書かせていただきます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年7月28日 16時) (レス) id: 24001718ca (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - Daysの1から見させていただいてます！毎回キュンキュンさせられてます(笑)これからも応援してます、更新頑張って下さい！ (2016年7月28日 13時) (レス) id: f8c7f97da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：as | 作成日時：2016年7月23日 21時
