＊なんて事ない日常を3＊米津玄師 (ページ37)

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米津「はぁ…」
「ごめん、からかいすぎた」

俺がため息をついたから、せっかく近くにいたのに離れていった。

米津「違う！」

慌てて、初めて彼女の手を握った。

「え？」
米津「あ、あの…違うんだ」
「うん」
米津「なんか…」

言葉が出ない。

「ん？ゆっくりでいいよ」
米津「うん…」

どう言えば伝わるんだろう。
そのまま思った事を言えばいいのかな。

米津「あの…ね、なんか自分が自分じゃないみたいなんだ」
「どういう事？」
米津「こんな気持ちになるのが初めてで…
オドオドしたり、顔が赤くなったり」
「付き合うん初めてじゃないやろ？」
米津「それはそうなんだけど」

ずっと手は握られたまま。
ちょっと俺の手、震えてるし。

「あたしもこんなにも愛おしいって思うん初めて」
米津「え？」
「男の人に可愛いって思うのは失礼かもしれんけど、可愛くて可愛くて仕方ないもん」

そう言って俺を見る彼女はめちゃくちゃ可愛いし、なんだろうこの心地良い声。

そうか…なんとなくわかった気がする。

米津「Aちゃん」
「ん？」
米津「めっちゃ好き」
「なに急に！」
米津「俺、自分から人を好きになるのってAちゃんが初めてで…だからこんな気持ちになるんだなって今気づいた」
「なにそれ、可愛すぎ」
米津「可愛いのはAちゃんだよ」

可愛いって言い合って馬鹿みたいだけど、めちゃくちゃ楽しい。
こんな気持ちもやっぱり初めてで、幸せだなって思えるのも初めて。

「そろそろお昼食べよ」
米津「あ、そうだね」