開始 ページ15
眼下には雲が尾を引く白んだ空が伸びている。
霧に似たそれは視界を殺されたように
薄ぼんやりと漂うのだが
恐ろしいことと言えば私が
気球や飛行機なんかを使わずに空にいることで
それは誇張やセンチメンタルじゃなく
本当に空に立っていた。
そういえば
空中散歩するシーンが有名な映画があった。
ヒロインが彼に連れられ空を華麗に渡るんだ。
淑やかな髪色とコートが
くらくらと揺れる画面を思い出すのと
私が見えない支えを失うのはほぼ同時で、
私には隣を歩く彼も華麗さもないけれど
同じように空にいたのだ。
ふうっと笑う隙もなく
私は落ちてゆく。
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海月水族館(プロフ) - 青紫蘇さん» ありがとうございます。日常の中の出来事や込めた想いの一欠片でも、また何かしらを感じて頂けたら幸いでございます。 (2016年10月29日 11時) (レス) id: e2a1bbd1d8 (このIDを非表示/違反報告)
青紫蘇(プロフ) - 短編集のことを、「言葉の森」と表してらっしゃるところがすごく好きです。内容も、純粋な気持ちや、ちょっと曲がった気持ちまで、言葉で繊細に感じました。 (2016年10月29日 6時) (レス) id: 6e2a60faad (このIDを非表示/違反報告)
るあのん(プロフ) - 直感で好きです!これからも頑張って下さい (2016年5月14日 15時) (レス) id: 6f73cd16bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海月水族館 | 作成日時:2016年1月31日 14時