その後の話:甲斐田と水雲 ページ37
『あっ』
「あっ」
『…』
「おはようございます」
事務所でバッタリ出会ったのはつい先日Twitterやらにじさんじやらを騒がせた水雲A。
いつもの調子でにこりと微笑みながら挨拶してきたAだけど僕は先日の衝撃が忘れられず、無意識に体がこわばった。
『…A』
「はい、なんですか?」
『あー、えっと、その…』
確かにAで間違いないのに、拭いきれない違和感。
だけどそれをうまく言葉に、口にできなくて、接続表現しかできずにいる。
そんな僕に何かを察したのかAは長い前髪を一度かき上げて、さっきまでのにこやかな笑みではなく、まるでいたずらっ子のような顔をして笑った。
「違和感、あんだ?」
『うわっ』
「ふはw晴はこっちの俺のがしっくり来たんじゃない?」
ど?なんて短く尋ねられ、僕はそうかもしれないと頷く。
別に今までのAを否定するつもりもないし、間違いなくAだし、それでも、こうして砕けたような喋り方がしっくりきてしまう。
2年半という決して短くはない時間過ごしたAより、"今"のAの方が落ち着くなんて…。
「はーる?」
『どっちもAなのに』
「いいじゃん?晴との時はこっちでいけるよ、俺」
『なんか、どっちのAも受け入れられるって思ってたのに…。あっ!でも!だからっていつものAが受け入れられないってわけじゃないからね!?』
「わかってるってw」
Aは笑いながら、慌てる僕の頭に手を伸ばしポンポンと撫でてくれる。
いつもはお兄さんみたいなAだけど、今は兄貴って感じでちょっとくすぐったい。
『撫でんなって』
「テレてんの?」
『ちっちがうし!』
「かわいーとこあんじゃん」
そうやって、1歳しか変わらないのに子ども扱い。
たった数か月の差に年上も年下もないんだからな、なんて思いながら目的地に向かうために歩き出したAの後ろ姿に呼びかける。
『A!』
「んぁ?」
『ど、どんなAだってす、好きだから、ね!』
「んっふw顔赤すぎだろww」
『うっさい!見んな!』
ほぼ同期として、友として、憧れの対象として。
どんなAとだって、僕は横並びでいたい。
思った以上に僕が発した言葉は照れくさいもので、顔中に熱が集まっているのが分かる。
「晴」
『なんだよ!』
「あんがとな」
そう言って笑ったAの顔が、なんだかいつもと違って見えた気がした。
『可愛いのは、Aじゃん』
「なんてー?」
『なんも!なんもない!!!!』
「そ?へんな晴」
END
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なな(プロフ) - えある。さん» わたしも男主好きなので仲間ですね!褒めて頂けて嬉しいです!これからも応援していただけるようマイペースにですが頑張って書いていきます💪✨(あと何秒前に終了のものは連動とかではなく1話目2話目みたいな感じで使ってましたw) (2023年4月4日 17時) (レス) id: ec5992d1d9 (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - 何秒前に終了みたいなのって、、、何話とかと連動してます? (2023年4月2日 23時) (レス) @page9 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - 男主のやつもっと増えてほしいです〜 主にぼくに需要が、、、ななさん神。男主+文才の神。 応援してます〜 (2023年4月2日 23時) (レス) @page3 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - プラスチックさん» さりげないかんじで弄ばれるように書いているのでそう言って頂けて嬉しいです💕 (2022年11月26日 12時) (レス) id: 3e077f16ff (このIDを非表示/違反報告)
プラスチック(プロフ) - 夢主に弄ばれるライバー様方が可愛いです♡ (2022年11月14日 22時) (レス) id: 897ac6c9fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作者ホームページ:https://twitter.com/HakutoNa7
作成日時:2022年10月27日 16時