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...
スニョンイにそう言われて、信号が変わり5人ともみんな駆け足で受付のあるフロアに入った。
「アポが無ければそのようなことはできかねます。」
「早く呼んでもらえます?」
受付嬢の子と男性が言い争ってるのが見えた。
駆けつけようと足を一歩出すと、パッと腕を私の前に出したウォヌが先に駆け寄って行った。
WN「どのようなご用件でしょう?」
「ここにイム A居るだろ、Aを出せって言ってんだよ」
聞き覚えのある声だ。
その声を聞いて、身体が硬直するのがわかる
昔は大好きだったその声も、
今じゃ、声を聞くだけで恐怖すら覚えるようになったのだ
WN「...失礼ですが、イムとはどういったご関係で?」
「... 兄貴だよ兄貴！兄貴は妹に会うのもだめなのか!?」
異様な雰囲気を感じたのか、ジュンさんもウォヌの方へ寄って行った。
私に兄なんていない。
ウォヌもそれは分かっているからか、警戒した目に変わった。
WZ「ヤー、A、あれって、」
隣にいたジフニが私の変化に気付いて腕を掴み、声をかけてくれた。
胸が苦しくて、息がしづらい。
なにより、みんなに迷惑はかけられない
先にあの人をなんとかしなくちゃ...
『うん、これダメなやつだね...っ、』
震える手でジフニの手を握り、
一歩前に進もうと足を出すと足に力が入らなかった。
力が抜けて座り込んでしまいそうになった時、
自分の身体が宙に浮くのがわかった
『スニョンイ、』
HS「...大丈夫。顔隠せ、嫌でも俺の胸で顔隠しとけ」
放心状態になり、スニョンイの顔を見つめていると隣からジフニに頭を押さえられ、スニョンイの胸に顔を埋める形になってしまった。
WZ「申し訳ありません、イムは本日出張で出ておりますので..」
後ろからジフニが対応してるのが聞こえる
スニョンイが歩き始め、その場を去って安心したと同時に、昔のことを思い出した。
身体の震えが止まらなくて、苦しくて、怖くて、不安で。
スニョンイのシャツをギュッと握った
HS「大丈夫、大丈夫。」
頭の上から聞こえる声は凄く、安心できる優しい声だった。
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作者名：ナン
| 作成日時：2023年6月6日 9時
