天使の手 -3- (ページ23)

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『何もなかったらいいんです、でも、話くらいなら聞けるかなって、』
　

JH「... 別に、何もないよ」

『でも、』
　

JH「でもでも、って俺に何かあったら全部話さなきゃいけないの？」

『そういうわけじゃ、』

　

JH「じゃあ何？」

　

『気になるんです、!! ... 少しの変化も。何かあったなら、わたしが話を聞いてあげたい、少しでも楽にしてあげたいって思うんです。... だめですか？』

　

JH「... お前に言っても、どうにもなんないよ」

　

　

ドキッとした。

もちろんいい意味ではなく。

　
　

ああ、触れてはいけないものに触れてしまったんだ。

　

目頭が熱くなるのがわかる

咄嗟に下を向いた

　

　

『ですよね、すみません！... 今日はもう帰りますね！』

　

初めて見た表情だった

彼を知った気になっていたんだ

まだわたしは彼のことをよく理解していないことを痛感させられた

そりゃそうだ
当たり前なことだろう。

　

彼と出会って、好きになって、好きになってくれて

まだまだ知らないことがあって当たり前だ。

そう思う自分と

　

境界線を少し超えてしまったのではないかと後悔してる自分がいる。

何か言いたそうな彼の表情を見ずに、
鞄を持って部屋を出た

　

玄関のドアを空けて、外へ出ると空気が軽く感じた

この部屋に入る前は、この空気の軽さを感じられなかった

部屋の空気が重かったのだろう。

嫌なほど、耳に残る

" お前に言っても、どうにもなんないよ "

そうだよね。
仕事のことだったり、家族のことだったりすると
解決するのは自分自身だ。

わたしに言ってもどうにもならないか、

そう思いたい。
そう思いたいけど、少し胸が痛い。