ムショウの愛

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WN side




　










　




あのタイミングで、


ヌナ と呼んだのは自分でもよく分からない。




　


　


ただ、あの場でAのことをいつものように呼び捨てで呼んだら、


きっとあの男は彼女も浮気してたなんて良い解釈をするだろうから。




　
浮気をするような男は、みんな自分に都合のいい解釈をするだろう。











　








　



　







　


　
WN「俺が運転する。」

　
『...うん。頼んでもいい？私が運転したら事故するかも。...宿舎まででいいから』


WN「Aの家まで帰るよ。俺、歩いて帰るし」




　





　




所属アーティストもスタッフも会社近くに住んでいるから苦ではない。





というのだけが理由ではないけど、


今日は自分が送ってもらう気分ではなかった。
　










　

あの時、ジムで見た女性だった。

　
奥さんだとは誰も想像してなかったけど。



　


　








　




　


　


　



　



WN「...探偵ごっこ。どうだった」



『...浮気相手は私の方だったわ。あり得る？そんなこと。』


WN「尚更、良かったじゃん、ちゃんと切って。」


『...うん、』




WN「まぁ、...うん。終わって良かったと思うけど？」

『うん。』





　







　



　
掠れた笑い声がやけに耳に残る。



　

こういう時って、なんて言葉をかければいいか分からない。

　



慰めた方がいいものなのか、
あの男を貶してやればいいものなのか。





　



　

バックミラーに映るAの表情は、

傷付いた顔をしているように見えた。



　









　



　





　


『...仕事。こういう時こそ、仕事だよね』




　
WN「...俺らといたら、あんなもん忘れるよ。」


『...うん、そうかもね』



　












　



　



　
忘れたらいい。

嫌なものは記憶から消せばいい。


良い記憶だけを残してくれれば良い。


　
それは、俺らが、
　






うん。













　
俺が作ってやるから。

　

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