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MG「楽しかった?」
『うん、すっごく楽しかったよ〜?』
MG「行って良かったでしょ?」
『そうだね、行って良かったかも。』
今日は、私の家へ帰る。
今日の楽しい思い出は、そのまま楽しい思い出としておいておきたい。
明日の朝。
朝にはご飯を作って、一緒に食べよう。
MG「ねぇ、A」
『ん〜?』
MG「こっち見て」
『なに〜?』
窓の外を見ていると、低い掠れた声で呼ばれた
MG「すきだよ」
日本語で"好き"と言う彼の目は私だけしか映ってない。
愛おしそうに私を見てくれるその目は綺麗で、鼻がツンとした。
まるで、私がこれから話す事を知っているかのように
ゆっくり微笑み、好きだと言う。
そんな彼が好きだった。
私しか見ていないその目も、
真っ直ぐに私の元へとやってくるその足も
"Aを守るためだからね!"なんて自慢げに幼い子が言うような事を言って鍛え上げたその逞しい身体も。
全部、私の全てだった。
『私、先お風呂入っちゃっていい?』
MG「いいよ、行っておいで。ゆっくり入ってね」
家に帰り、すぐ浴室へ向かった。
泣いてしまいそうだったから。
リビングでソファーに座ってテレビを見たり、
ゲームをしたりできそうになかった。
"すきだよ"と彼が言った後からずっと、涙が出そうで。
自分が決めたことのはずなのに、
私は弱いんだと痛感する。
これが最後。
これが最後だと決めて、
泣いた。
今までの事を流すように
楽しい思い出だけ、おいて。
子どもみたいにワンワン泣いた。
涙も辛いことも全部水で流して、
明日から前を向いて歩けるように
私の泣き声をシャワーの音で隠した。
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作者名:ナン | 作成日時:2023年11月25日 15時