9品目 ページ10
side Aー病院にてー
病院に運ばれるやいなや、手術室に入れられた
何かを聞くことも出来ず準備が進められる
左太股には相変わらずナイフが刺さっているが
もう痛みはない。恐らく脳が痛みになれたんだろう
…慣れって怖いなぁ
特に恐怖もなく、周りをじっくり眺めていた
色々な器具を出す人、何かを記入している人
これからの事の相談をしている人達
『なんか、凄いなぁ...』
「ははっ、そうですか?あ、血圧計らせていただきますね
アレルギーや今服用してる薬等はありませんか?」
『アレルギーはありません。薬も、大丈夫です』
「どっちもなし、っと」
復唱しながら、何かを書き込んでいる
多分薬の相性とかがあるんだろう
何処と無く、自分の職場と重なって見えて
自分の不注意なのに皆に迷惑をかけたな、と後悔する
するとそれが怯えていると思われたのか、先程の看護師が話しかけてきた
「大丈夫ですよ!痛くないし、怖くも無いですからね!」
『…ふふっ、ありがとうございます。
怖くは、無いんです。ただ職場の人に迷惑かけちゃったなと...』
「うーん、そろそろ傷口縫うと思うので
その辺りのお話は縫い終わってから聞きますね!」
元気だなぁ。外見からしてきっと大学生、私の1.2つ下くらいかな
センラ様と同じで、周りに可愛がられるタイプか
でもセンラ様ほどその好意を上手く使えていない辺りまだ若いな
「えーっと、獅々原さん、であってるかな?」
『はい。獅々原Aです』
「はい、えーっとね、今回は傷口に麻酔を打ってナイフを抜いて
太い血管が切れてなかったらそのまま傷を塞ぐからね」
『はい。お願いします』
「はい。じゃあ横になったまま力抜いててね
あ、傷口に麻酔打つから結構痛いと思うけど頑張ってね」
頑張ってねて、他人事…まぁ他人ですけど
言われた通り横になり、白く綺麗な天井を見つめる
4〜50分後、いいですよ、という言葉ではっとする
何かを考えていたんだけど、それが何か思い出せない
ただ分かるのは、左腿にある違和感だけ
看護師さんに支えられながら手術室をでると、見慣れた金髪が…
『ぁ、あー…はは...センラ様…』
セン「ん、お疲れさんなぁ。車で来たで一緒に帰ろか」
やばい、センラ様がお怒りだ…
恐らく報告が一番に行かなかったからと
私が男性看護師に支えられているから
離れようと思った時には既に遅くて
センラ様に引き寄せられ、腕の中にすっぽりと収まっていた
私の大好きな匂いが、ふんわりと私達を包んだ
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Rey(プロフ) - この作品神ですね。とても面白いです!更新されているぶん全部読ませていただきました!キュンとするところもあれば、切なく感じるところもあり、それでいて面白いという。一目惚れしました←更新頑張ってください!待ってます! (2017年12月10日 9時) (レス) id: 71cc7404f6 (このIDを非表示/違反報告)
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