35品目 ページ36
side Aｰセンラ室にてｰ
ｾﾝ｢俺は一緒に住みたいで｣
そう呟いて、静かになってしまわれたセンラ様
貴方は一体、その言葉をどういう意味で言われたのですか？
一料理人にそんなこと、言うべきではありませんよ
私は使用人、貴方様は主
私達を繋げる関係は、どう足掻いても変えられません
仮に、私が貴方に抱いている感情が恋心だとしても
それを実らせる権利を、私は持っておりません
だからどうか、私を好きにならないで
私の心が、恋を知らずに収まるまで…
願わくばそのまま、貴方の心が恋心を抱くまで…
ｾﾝ｢A、明日、家帰らへん？実家の方に…
んで、俺がAの親に頼んでみるわ｣
『な、んで...』
声が震えてしまう
やめて、だめだよ。そんな事しないで
私は、今のままで満足だから、これ以上求めさせないで…
ｾﾝ｢センラ、Aが好きや｣
『っ、違っ...センラ様は、違うっ...』
もう、言葉が言葉にならない
けど、どうにかしてでもそれ以上聞きたくなかった
聞いてしまったら、抑えられなくなる
ｾﾝ｢なんが違うん？｣
『センラ様はっ、私のこと、好きじゃな、い...』
ｾﾝ｢なんでそう思うん？｣
なんで？
なんで…？
理由なんて、わかんない
もう、わからない…
頭の中がぐちゃぐちゃで、矛盾する気持ちが渦巻いてる
ｰ好きでいてほしいｰ
ｰ好きにならないでｰ
どっちが本音かなんて、分かりきってる
だから私は、本音を押し殺すんだ
『好きにっ、なら、ないで…』
涙腺のバカ
言い終わって出てこないで...
止まれ、止まって...お願いだから、止まってよ...
ｾﾝ｢…嘘つき｣
ポツリと、センラ様が呟かれた
悲しそうに、辛そうに…
その声が痛々しくて、私のせいだとわかっていて...
また1粒、涙が頬を伝った
横になっていた体が、易々と抱き抱え上げられ
センラ様と対面する様にお膝に座らされた
ｾﾝ｢なぁ、ほんまの事言って
Aは、センラのことどう思っとん？｣
『私はっ、センラ様を、尊敬し、お慕い申し上げておりますっ』
ｾﾝ｢…今くらい、普通に話してや...
主と使用人やのーて、折原泉と獅子原Aで...
同じ人間として話してや…｣
『無理っ、です！私はっ！』
使われる側の人間だから
そう言ったあとの、センラ様の辛そうなお顔は
嫌というほど脳裏に焼き付いている
何度謝っただろう
何度謝られただろう
どれだけ流れても止まらない涙
2人だけの空間に 水が滴る音が響く
嗚呼 外は 雨模様に染まっていたのですね
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rey(プロフ) - この作品神ですね。とても面白いです！更新されているぶん全部読ませていただきました！キュンとするところもあれば、切なく感じるところもあり、それでいて面白いという。一目惚れしました←更新頑張ってください！待ってます！ (2017年12月10日 9時) (
レス) id: 71cc7404f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
