伝えたい言葉2 (ページ12)

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story60 ページ12

すごく怒った顔をしている大輝が目の前にいる。

『離してください』

大「やだ」

『私仕事があるので』

大「わかってる」

大「でも離せない」

このまま大輝といたら絶対涙が出てしまう、大輝の手から熱が伝わってくる。

大「なんでそんなに目が腫れてるの」

『腫れてません』

大「そんなわけない。メガネしてたって腫れてるのわかるよ」

大「ねえ、別れるって本気じゃないよね？」

助けて欲しい、私だって別れたくない。

だけど大輝まで巻き込まない。

『本気です』

至って冷静に、涙なんて流しちゃいけない。

大「どうして」

『もう好きじゃないんです』

そう言うと驚いた顔をする。

大「え？」

その瞬間に腕を振り払って歩き出す。

大「待ってよ！急にどうしたの？」

『好きじゃないんです』

その一言を言って走る。

大輝は固まってしまったようだ、追いかけてくれることを期待した自分が恥ずかしい。

走って女子トイレに逃げ込む。

止まらない涙、大輝のあんなに悲しそうな顔見たことなかった。

出来ることなら別れたくない。

でもこれしかないんだ。

手を洗って顔を叩いて気合を入れる。

会議室に着いて今日の流れを確認しているとメンバーが入ってくる。

直「Aちゃん今日目腫れてない？」

『映画見たらめっちゃ泣いちゃって、腫れすぎですよね』

日「そんなに腫れるほど泣ける映画見たの？」

なんて話をしていた。

真「でもそのメガネおしゃれやなあ」

大輝が選んでくれたお揃いのメガネ、今褒められるのは複雑な気持ちだ。

『ありがとう。気に入ってるの』

なんとかやり過ごして終わり時間を迎えた。

携帯を見るとLINEが入っていた。

大「さっきの話だけど少し時間ほしい」

大「昨日連絡取れなかったから心配だったけど無事でよかった」

大「帰りは気をつけてね」

大輝らしい優しいLINEが届いていてまた泣きそうになる。

秀「A？」

振り返ると秀太がいた。

『どうしたの？忘れ物？』

秀「お前嘘ついただろ。映画で泣いたんじゃないだろ」

秀太にはお見通しなのか、さすが幼馴染だななんて感心する。

でも秀太には今は言えない。

『嘘なんてついてないよ』

秀「なんかあったのか？」

『なんでもないよ、お疲れ様。また明日ね』

振り切るようにして秀太の前から逃げる。

腕を掴まれそうになるところを無視して走る。

私の名前を呼んでるけど聞こえないふりをした。