彼は只者じゃない壱 [ハイキュー][文スト]

嘘 ページ42

赤葦side









チラッとAさんを見る。









もう寝息が聞こえる。寝るのが早い。よっぽど疲れてたんだな。









「………ふぅ。」









あの時、Aさんに言おうとした事。言う寸前で言うべきか迷った。









太宰さんが言っていた事件。本当に実在するのだろうか。









東京で起きた事件では無いと言えど、沢山の高校生男子が誘拐されてる事件。普通だったらテレビで報道される筈なのにそんなニュースは1度も見た事が無い。









「Aさんは嘘をついてるんですか?」









そう聞こうと思ったけど言えなかった。……いや、言いたくなかった。









もし嘘をついていたらAさんは皆を騙している事になる。









きっと嘘をついてたとしても何らかの理由があってだろう。









でもAさんが皆を騙してるなんて思いたくない。









Aさんは優しい人だ。1年生だった時、雑務は1年生の仕事なのに手伝ってくれたり、入りたての頃、中々先輩にアドバイスを聞けなくて困ってたら話しかけてくれてアドバイスをしてくれたり。









そんな仲間思いなAさんを疑いたくない。









「………これ以上考えるのはやめよう。」









俺は考えを振り切る為、無理矢理瞼を閉じた。俺の予感が当たりませんようにと祈りながら。

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