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『ヨコ』
静かな、それでいてよく通る声がもう一度俺の名前を紡いだ。
声の向こうでガシャガシャと重たい金属音がする。すばるは1つも焦ってない。気が抜けた。いや、さっきまでのアレがおかしかったんやと、そこまで来てようやく気づく。
「や、いや…ごめん…」
『7時過ぎたら電話しろって頼まれててん。最近アップデートにもえらい時間かかるから』
飯、なんか頼んで食うてって。出前のメニュー、電話の下の引き出しやってさ。
聞いてみれば要件なんてそんな、腹立つくらいしょうもないことや。けど、心臓が震える感覚だけが嫌に残っとる。背筋がぞわっとしたあとの、あの、感覚が。
『なんや、悪い夢でも見たんか』
すばるの声はタバコの煙でかすれていた。
「夢なんかじゃ、あれへんよ」
もう一度、デッキに目をやって下を向く。頭が痛い。
夢なんかじゃない。いつか、現実になる。
家事をしてくれるアンドロイドなんか今は山ほどあるんやろうけど。なにができなくてもいい。俺は、ヒナがいいのだ。やから、俺は、怖がっているのだ。
「なぁすばる」
いつものあの雑多な机で、タバコをふかしながら機械いじりをしてるやろう電話の先に問いかける。
『なんや』
「うちのさ、ビデオデッキ、壊れてん。直せる?」
『…はぁ?俺、専門はセクサロイドやぞ。ヒナやって例外なんやからな』
「やったらヒナは?」
『あぁ?』
「ヒナが壊れたら、治せる?」
しょーもな。
すばるは言って、電話を切った。
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ぐりむ(プロフ) - ↓全くコメントに気がつかなくて一年以上経ってしまいました。すみません。一応お返事しておくと、めちゃくちゃダメです。重ね重ねすみません。 (2020年1月4日 1時) (レス) id: 212d40df9c (このIDを非表示/違反報告)
岩辺亮香 - 作品、アレンジしてもいいですか?よければ私が作ったイベントに参加してください! (2018年12月27日 7時) (レス) id: d0c4305158 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐりむ | 作成日時:2017年5月14日 9時