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「…マル？」
振り向いたすばるくんが、俺の顔を見て困った顔をした。はだしの足がぺたぺた音をさせながら俺に近づく。
伸ばされた手のひらが俺の頬を拭った。
そうされて初めて、自分が泣いていることに気がついた。
「…どうしたん」
ピックも使わず弦を爪弾くギター弾きの指はいつも固く尖っていた。ざりざりの指先に俺は心底憧れていた。
俺の肌の上を柔らかに滑るひんやりしたすばるくんの指先にそんなことを思いだす。
この人は、
この、人形の指は、
ひどく、ひどく、柔らかかった。
俺が、奪った。
一番大切な、すばるくんの音楽を。
すばるくんの歌を。
一番大切な、
歌さえあればなにもいらないと幸せそうに笑ったすばるくんを。
まばたきをするとまた涙が溢れて、目に映るすばるくんの姿が滲んでぼやけた。近くて遠い。いるようでいない。愛したくて愛せない。同じようで違う、ようで同じようなすばるくんの人形。
「なぁ、俺なんか忘れとる？忘れたらあかんこと、忘れてるん？」
________
『「音楽」についての情報全部消すん？この人記憶のほっとんどそれに関わってんで？消したら記憶全部飛ぶかもわかれへんで？…それでもええん？……そうか、いや、やっては見ますけどね。まぁ俺は腕ええしできるだけやっては見ますけどね！そんな大事なもん消してもうてええですの？…っと、あんましお客の私情に立ち入ったらいけんのやったわ、すんません。ほならカスタム内容は「音楽についての情報を全部消すこと」でええんやな？』
________
「…大丈夫。なんも忘れてへんよ。なーんも変わっとらんよ」
大丈夫
俺は、すばるくんになら
きっと上手に嘘がつける
「ごはんにしよ」
それでもあなたと
生きていけるのなら
生きていくためなら
あなたと、いっしょに
Mad/Sacrifice
________
大好きな人を取り戻すために大好きな人を手放してしまった橙さんのお話。赤さんの過去とかが全く書ききれていなくてなん…なんなんこれ？？？ってなっている方の多いことでしょう…面目ない！面目ない！でもこれ以上書いたら短編じゃなくなりそうだったんだもん！だらだらと長く書き連ねた割になんだかよくわからない代物になってしまいました。精進します…
ぐりむ
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ぐりむ(プロフ) - ↓全くコメントに気がつかなくて一年以上経ってしまいました。すみません。一応お返事しておくと、めちゃくちゃダメです。重ね重ねすみません。 (2020年1月4日 1時) (
レス) id: 212d40df9c (このIDを非表示/違反報告)
岩辺亮香 - 作品、アレンジしてもいいですか？よければ私が作ったイベントに参加してください！ (2018年12月27日 7時) (レス) id: d0c4305158 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぐりむ | 作成日時：2017年5月14日 9時
