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俺の目の前で横向きに寝た身体の向こうで、回転椅子に座った白衣の先生は、几帳面に整えられた机の上からファイルを抜き取ってくるっと振り向いた。
「まぁ、言われた通りのもんをできる限り実装はさせてもろたけど。何遍も言うてますけど、同じデータ載せたからって同じ人になるわけちゃいますからね」
「そりゃ、もう」
「わかってるいいますけどね？これ、起動して思てたもんやなかったとしても引き取ってもらいますからね。一回しか起動せんと置いてく人とかほんまにおるんやから。そんなん必死で作業してきた人形師やって報われなさすぎるやろ？確かにお金はもろてますし、買ったもんどうしようと勝手やろいうんもわかります。わかるけどやな、俺ら人形師にとってはこの子らは子どもみたいなもんやねんから捨てられたらそら悲しいわけや」
「はい、あの」
「そら俺らの力不足や言われたら仕方ない。安定したパフォーマンスができるほどの技術がまだあれへん。けどそのことは何遍も何遍も説明しとるわけやろ？それでもや、それでも見た途端手のひら返すんはあかんわぁそんなん俺らに頼んだおたくらの責任ちゃうん？」
「あの！」
「え？」
ここの先生は相変わらずほんまにおしゃべりで、けどここらの人形師の中では一番腕がええらしい。こんなばりっばり関西のおっちゃん、みたいな人が…と思わんこともないけど、話がうまくて頭の回転が速そうな人や。笑ったときに覗く立派な八重歯が印象的やった。
「わかりましたんで、そろそろ、起動させてもらえませんでしょうか」
「おー、そかそか。すまんな」
そう言って、先生は寝かされた肢体に歩み寄る。
「どうや？うまいことできてるやろ」
大人にしてはいくらか小柄な身体と、閉じててもわかる綺麗な二重。女の子みたいに華奢な手足。目の前に横たわってるそれは、俺が会いたかった人そのもので。
「…はい」
ようやっと絞り出した声は、みっともなく震えていた。
「ほいだら起動させるで」
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ぐりむ(プロフ) - ↓全くコメントに気がつかなくて一年以上経ってしまいました。すみません。一応お返事しておくと、めちゃくちゃダメです。重ね重ねすみません。 (2020年1月4日 1時) (
レス) id: 212d40df9c (このIDを非表示/違反報告)
岩辺亮香 - 作品、アレンジしてもいいですか？よければ私が作ったイベントに参加してください！ (2018年12月27日 7時) (レス) id: d0c4305158 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぐりむ | 作成日時：2017年5月14日 9時
