君を見守る ページ7
なんて今までのことを思い出していると、
「おい日向ぁ!!!!」
飛雄の叫ぶ声。さっきまで真面目に練習していたのに、なんだ急に。また2人でギャーギャー騒いでる。
ため息をついて、仲裁に入る。
「飛雄、あんたうるさい。もうちょっと日向くんの気持ち考えて教えてあげたら?」
「うるせぇな、だってこいつが…」
「だってじゃないの。」
飛雄は何か言いたげだがそれ以上言うのをやめ、練習に戻った。
「A、ありがとな。俺、なんか影山に慣れなくて……。」
しゅん、とする日向くん。
なんだか、飼い主に怒られた犬のようで可愛い。
「ごめんね〜、あいつほんっと性格に難ありだから。日向くんは無理に慣れなくてもいいよ。きっとプレーしていったら飛雄も日向くんの強さに気づくと思うし。私がちゃんとサポートするから!!」
ねっ?と言って日向くんの顔を覗き込む。
「なんか、A変わったな。初めて会った時より、すっごい明るくなってるような気がする。はっきり喋るようになったし。」
そう日向くんに言われると、
確かにそうだ。
飛雄とは幼なじみだったけど、昔から飛雄が怖くて話すのもやっとだったのに、今は遠慮なしに何でも言える。友達や家族からも、よく喋るようになったねって言われるし……。
「………それはね、きっとあの子のおかげなんだ。」
私は日向くんを見ながら話す。
「だ、誰?誰ーー??」
興味津々に聞いてくる日向くん。
「さぁね〜、内緒!!いつか、その子が誰だが分かるよ、きっと。」
え〜〜!Aのケチーー!と言いながら顔をしかめる日向くん。
「今はまだダメなのーー!絶対いつか分かるからーー!!早く練習に戻りなさーーい!!」
しぶしぶ練習に戻る日向くん。
さっき、菅原さんに告白しないのかと聞かれたが、今はしない。今、この関係が私にとっては心地がいいから。日向くんの想いは分からないけど、私は日向くんを見守って想い続ける。彼の高校3年間はバレーにつぎ込むであろう。私も3年間、マネージャーとしてバレーにつぎ込む。
みんなのサポートをするのが、私の仕事だから。
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作者名:うさぎ。 | 作成日時:2014年7月12日 19時