不意に ページ3
そのまま話が弾んでしまい、気づけば辺りは暗くなり始めていた。私の携帯に、お母さんからメールが入る。
「あ………、ごめん、日向くん。私もうそろそろ帰らないと…。」
とっさに立ち上がったため、バランスが崩れる。こける！と思った瞬間、
「うわぁぁぁ！大丈夫か？！！」
そう言って、日向くんは私の腕を引っ張る。
「ご、ごめん！大丈夫……っ！！」
日向くんの方を向くと、顔の距離がとても近くて私は言葉を失った。
腕を引っ張られたせいか、自然に抱きしめられる形になっており、恥ずかしくて声が出ない。
どうしようか、この状況。
でも、全く嫌な気持ちにはならなかった。
「あの………。日向くん……？？」
私は日向くんに声をかける。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ！！ご、ごめんっっっ！！！」
真っ赤な顔をした日向くんが全力で謝る。
「ううん、助けてくれてありがとう。おかげでこけなくて済んだから。」
心臓の音がうるさい。なるべく平然を装おうとするが、難しい。
静まれ、私の心臓。
「………今度、試合があるんだ。」
日向くんは下を向いたまま、話続ける。
「俺、やっとちゃんとした試合に出れるんだ。たとえ、相手がどんなに強いチームであっても、俺は諦めない。全力で、戦う！絶対に負けない！！勝つ！！！」
日向くんの目は、本気だ。
まっすぐな目、その目に嘘はない。
「……応援、してる。私、日向くんのこと応援してるよ。その試合、見に行けるか分からないけど……。日向くんのバレーに対する想い、全力でぶつけてきて。」
日向くんは驚いた顔をする。
だがすぐに笑顔になった。
「う、うん！！！ありがとう！」
日向くんがとても輝いて見えた。
私は自分の鞄についていたバレーボールのキーホルダーをとる。
「これ、あげる。」
はい、と日向くんに手渡す。
「お守り。日向くんが全力でバレーできるように。」
「あ、あ、あ、ありがとう！！」
そう言って日向くんは笑顔で受け取ってくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うさぎ。 | 作成日時：2014年7月12日 19時
