華やぐ刻 (ページ28)

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最近はどーなの？みたいな普通の話を楽しくして、
智くんの魚はどれも美味しくて。
(でも貝はあんまりなかった)
気のおけない仲間との食事は、お酒がすすむ…

っていい気持ちでいたら。

「あ、眞耶さんて覚えてる？松潤をパリコレに誘った人！」
嬉しそうに相葉くんが言い出す。
「あー、バーベキューのときしか会ってないけど。覚えてるよ」
にのも隣で「そんな人といたねぇ」
って反応。
お互い会社員だし、人の顔と名前はなるべく覚えておくようにしてる。

「最近ちょくちょく店に来てくれてね、話題が広くて面白いよー！」
ちょくちょく？
「え、彼氏の服そんなちょくちょく？」
「ううん、なんか仕事の合間にちらっとよって、俺か松潤と喋ってく。
松潤は旅でも一緒だったし、たまにはランチしたりもしてるみたいだけどね」
海外色々いくなんて、セレブだよねー！
って、

…いつのまにそんな、常連さんに。

潤の口からは、あのあと一回も、名前は聞いてなかったから。
ちょっとした衝撃を受けてしまった。

「着てるのも、そんな名前通ったブランドとかじゃないんだけどね、自分に合う素敵なのを着てるから、勉強にもなるんだよねー」
あの店の店員に、
しかも人気イケメンおしゃれ店員に、
そこまで言われるとなると。

素敵なんだろうな。

「今度ね、彼女がみつけてきたブランドのものをね。小物だけ取り合えず、うちの店にも置いとくことにしたんだよー」

なるほど。仕事も出来る人なんだ。

「っていう話を思い出したのは、翔くんのカフスみたからなんだけど！」

ん？
「それ、そのブランドがそうなの！素敵だよね。潤くん、飾る前に買ってたからね！俺もにのになにかあげたいなー」
「いらないよ。俺は、相葉さんが自分で見つけて俺にくれるもの以外はいらない」

…俺もそれを今、潤にいいたくてたまらなくなってるよ…

「色んなものみて、考えて、選んで。その時間だけ俺にくれればいいよ」
「にの…」

あー、
そうだった。
普通すぎて忘れてたけど、
ここ、このふたり。今一番おあつい時期だった…。

そして、自分の嫉妬深さを久しぶりに思い出したりもして、
思考がぐるぐるしはじめたので、
おれはそっと退散することにした。

智くんに、
こそっと三人ぶんの会計をすませ、
「また店にも遊びに行くね」と伝えて店を出た。

時計を見れば、同時にカフスも目にはいる。

…あんなに嬉しかったのにな、