華やぐ刻 (ページ21)

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【今から翔さんのところに向かう飛行機に乗るよ】

【ちょっとケチケチして乗り継ぎで安くあげようとしてたら、飛行機遅れちゃってうまくいかなかった。ごめん、帰りつくのは明日の夜かも】

「…しょうさーん」

LINEの画面を見ながら眠りについていたら、

夢かまことか

潤の声が聞こえる。

「…じゅん？」

でもぐっすりだったらしい俺は、なかなか目が開けられない。
どこにいる？
ふらふらと、手を空にさまよわせる。

と、そっと腕をつかまれ、
暖かい体をくるまれた。

「ただいま」
すぐ耳元で囁かれる。
そっと唇が重ねられた。
安心する…。

ようやく、少し目を開けることに成功した。

「もう、そんな色っぽい流し目されちゃったら、歯止めきかなくなっちゃうよ」
にこにこして、見つめられていた。

「おかえり」

色っぽい気持ちより、安堵感が強くて、
腕を潤の体に回し、こちらからも緩く抱き締める。

「…起きときたかったけど、ごめん…」
起こして、とねだるが、
「いいよいいよ。今夜はこうやって、翔さん抱き締めていられたらいいから。このままおやすみ♪」

ごろごろと、大きい猫は呟いて、
背中を優しくぽんぽんと、リズムよく叩いてくれる。

…子供じゃないんですが…
って、文句を言いたいとこだけど、
ほんっときもちよくって…

熟睡。

そりゃもう心地よく目覚めたら、
まだそこに潤の笑顔があった。

「おはよ」
きらっきらしている。
「お、おはよう…ございます」
時差ぼけしちゃって、あんまり眠れなかったらしい。

「久しぶりに寝顔いっぱい堪能した」
と、ご満悦だ。
…良い年なので、そんないいもんでもないとおもうんだけど。
朝食を作ってくれるというが、
冷蔵庫…タッパーはあと2つだったな。確か。
それ以外なんて、ビールしか入ってないよ…。

「一杯食べてくれたんだね！あぶなかったー。あと１日延びてたら、翔さん腹ペコになっちゃうとこだった。ごめんね」
わざわざ寝ているとこまで戻ってきて、
顔をのぞきこんで。

「ごめんね。今からおわび、いっぱいするからね」
おでこにキスして、またキッキンに向かっていった。

…海外いったら、
今まで以上に優しさに磨きかかってないか。