伍代君とアオハル【3】

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…


「俺だって…ずっと言いたかったけど…
言えねぇよ‼︎ もし…中3の時兄ちゃんに言ってたらよ…」


「うらぁ!」


剛を殴る猛


剛は膝をつく


「うっ…兄ちゃん…聞いてくれたのかよ…」


「言いてぇ事があんなら…家族皆の前で言え…」


…


無言で帰宅する子供達


「おっかえりー
おっ、おかえり〜」


「なんだオメェら
四人揃って松の散歩か?
フッ いい年こいて兄弟喧嘩か」


子供達の様子見て不思議そうな父ちゃんと母ちゃん


「何があったかしんねーけどさ
今日はパチ勝ったから焼肉行くぞー!」


「イーネッ」


「なんだよ暗れーな」


ダイニングテーブルの椅子に座る父ちゃんと母ちゃん


「どうした」


父ちゃんが聞く


「おい剛、おいテメェゴラァ
早く父ちゃんと母ちゃんに全部言えよゴラァ‼︎」


剛の胸倉を掴む猛


Aが剛の背中を軽く叩く


正座する剛


剛の横に立つA


剛はポツリと話し出す


「ごめん…俺…高校入学してから…今日まで…ずっと嘘ついてた…」


「ハァ…なんの話だ」


溜息をつく父ちゃん


「俺市松に通ってねぇ…市松通ってんのはAだけなんだ…
本当は白百合通ってる…皆に黙って…白百合受験した…」


「何言ってんだよ」


「白百合ったら吟子の…」


「ホントなんだよ 俺…市松のアタマでもなけりゃ生徒ですらねぇ…」


父ちゃんと母ちゃんがAを見る


静かに頷くA


「おい猛…なんの冗談だこりゃあ
全然笑えねぇぞ…」


「あぁ…笑えねぇよ
だからぶん殴ってやったんだろ」


座り込む猛


「剛…オメェなんでそんな真似した…」


剛に聞く父ちゃん


「喧嘩ばっかで嫌になった…
俺普通の高校生やりてぇなって思って…
普通に勉強したり部活したりよ…」


「そんな事聞いてんじゃねーよ
俺が聞いてんのはよなんで俺らに嘘ついたかって事だ」


机を思い切り叩く父ちゃん


「吟子だって白百合通ってんだよ
正直言ってくれりゃ…」


「言える訳ねぇだろ‼︎
中3の時はよ 兄ちゃんが関東制覇した頃でよ…萬中でアタマ張ってた俺も期待されてたの分かってたからよ…」


「まさか…千葉シメたとか広島オトしたとかってのも嘘か」


「あれはホントだよ…
ツレ助けようとして…結果的にそうなった
俺がよ…喧嘩して顔腫らして帰ってくると皆期待して色々聞いてくっからさ…事実を正直に言っただけだよ…」


父ちゃんは無言でソファーに移動する


「皆ホントに嬉しそうな顔するからよ…」

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