【H×H】 Love actually is all around 1

3. 見慣れない景色 ページ3

『うん！うまく逃げれた』

後ろに人がいないか確認したあと、袋から果物を取り出し

一口頬張ると中の果汁が飛び散った。

『んっ･･･』

ぺろりと口の周りを舐めると、程よい甘みが口いっぱい広がった。

あのお兄さんには悪いことしたなと思いつつも、

足を止めることはなく、基地に向かった。


見慣れた景色、慣れた足取りで

薄汚れた小屋に入り、大声を上げた。

『ただいま！』

｢おかえり、早かったね｣

その言葉を待っていたのに、返ってくるのは沈黙。

みんな、まだ帰ってきてないのかな？

そんなことを思いつつ、暗闇の中

電池式の電気をつけると、私は言葉を失った。

そこには、血まみれで倒れている子や白目を向いている子、

目も当てられないほどの子や、首がありえない方向に向いてる子。

確かに、今思うと血の匂いがぷんぷんする。

膝をつき、首にそっと手を当てると、

感じたことのない温度に思わず後ずさりすると、

近くにあった、ガラス瓶が倒れパリンと音を立てた。

“死んでる”それを認識すると、

一気に下腹部に重い感覚が押し寄せてきた。

でも、頭の中は以外に冷静だった。

それはたぶん、ここの出身だから。

周りの人に襲われることは、まずない。

比較的、友好関係を築いてきたはずだから。

街の商売人だとしても、ここに足を踏み入れてくる奴らは滅多にいない。

直前まで近づいてきても、いつも渋々引き下がるからだ。

じゃあ、だれが？

そんなことを考えていると、近くから足音が聞こえた。

3. 二人組の男→←1. 身長が低い女の子

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