【ky】金髪のキミに近づきたい！

帰り道、2人きり ページ22

キヨくんが自転車を押してゆっくり歩いてくれる。
私より足が長くて歩幅が広いから
私のペースに合わせてくれてんだろな。
優しいキミの隣にいるのに
気持ちは私の一方通行で。
嬉しいけど寂しい。


お互い気まずくて無言で歩く。
チラッとキヨくんを見ると目が合って
反射的にすぐ逸らしてしまう。


キ「あのさ。」

「ん？な、何？」

キ「なんで俺なの？」

「何が？」

キ「一目惚れ。」


一目惚れに何でなのかって
理由なんかないと思うけど。
ただ純粋にキヨくんをかっこいいと思ったから。
それしかない。


「キヨくんをかっこいいと思ったから。
…一目惚れって理由これしかないと思うねんけど。」

キ「じゃあ、なんで今も好きでいてくれてんの？」

「それは…」

キ「それは？」


優しくて、面白くて、友達思いで、
私のことを分かってくれてる気がして、
他の子達と一線引いてくれてる気がして。


「キヨくんが好きになってくれたら教えてあげる。」

キ「そうきたか。」


駆け引きなんか下手くそやけど、
好きなところ全部教えたら
それで終わってしまいそうやから。
私に振り向いてもらわんと意味が無い。


「でも、キヨくんのことは誰よりも好きやと思うで。私。」

キ「知ってる。…俺さ、今まで何人かに告白されたけど、みんな、俺の事をそこまで知らないのに好きって言うのが違和感で。Aちゃんもそうなのかって思ったら一目惚れって言うしさ。友達申請してきたり、緊張しすぎて噛んだり、サッカーしようってボール持ってきたり。面白いんだよ、一緒にいるのが。」


ヒラくんが言ってた、「何人も泣いてるのを見た」って言葉。
あれはかなりほんまらしい。
キヨくんが誰かに対して恋愛感情を持てないのが原因ってことなんだろう。


「キヨくんさ、誰かを好きになったことある？」

キ「ないかも。」

「やから、何も知らんのに告白されて違和感あんのね。私は一目惚れやったけど、キヨくんと過ごせば過ごすほど好きになっていってる。理由は後付けでもいいって思う。」

キ「後付ね。見た目から好きになってさ、知っていって幻滅してねーの？」

「してへん。幻滅する所が見当たらんから笑」

キ「俺そんな完璧人間じゃないよ？」

「完璧人間は求めてませんから。」


キヨくんが好きの気持ちを知った時に
私がそばに入れれば、
それでいいのかもしれないと心にゆとりができた。
また進歩。これも成長。
気長に待てよ、私。

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