弱さという強さを。

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メイク室では熱のせいかボーッとしてるけど、それ以外はいつもの風邪の時と変わらなかった。

あえて触れないものの、若干気まずい空気が流れる。

手越｢……まっすー｣

増田｢なに｣

手越｢俺さー、もしかして、だいぶなんかした、？｣

増田｢……だいぶ、なんかした｣

手越｢あーね、なんかちょっと、思い出したかも｣

増田｢ん。｣

手越｢……大丈夫だった？｣

増田｢だいじょばなかった｣

手越｢そっかー｣

そっかー、じゃねー。

手越｢怒ってる？｣

増田｢……うん｣

手越｢そーですよね、ええ……もーしわけない｣

増田｢べつに、いいけど｣

手越｢……｣

いいけど、よくない。

増田｢やばいんでしょ、色々｣

手越｢……｣

増田｢やばいんならどうにかしろよ、いるじゃん、こやまとか｣

手越｢……ぅん｣

わかってる、俺じゃない。こいつがどうにかするとき頼るのは。こやまにすら頼るのも不器用すぎて爆発寸前なことも。

増田｢ねれてんの｣

手越｢……そこそこ｣

増田｢食ってんの｣

手越｢……そこそこ｣

増田｢食って寝ろ｣

手越｢……うん｣

さすがにこのへんで許してやる。

番組はふらふらしながらもやりきった。歌声も熱の割にはいつもと大して変わらなかった。

こいつのプライド発揮力だけは認める。

弱さっていう強さをもう少し持ってほしいことは、まあいつか伝えよう。


Fin.

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作者です。ご覧いただきありがとうございました。早速評価もいただきありがとうございます。こんな感じで短編を更新していく予定です。ややてごます贔屓なところがありますが、よろしくお願いします。

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