雨の後には日が射し込む (ページ5)

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新たな日常の始まり3 ページ5

Side：○

歩き出した井ノ原先生の後を追いかける。ゆっくりと俺たちに合わせて歩く後ろ姿は不思議と大きく見えた。

「ここが、中学2年生の教室」

そう言って井ノ原先生が扉を叩いて開ける。中にはふわりと笑った優しそうな先生とまっすーがいた。

「いらっしゃい、1年生の子だね。俺は長野博。2年生の担任を務めてます。よろしくね」

長野先生は俺たちのもとに歩いてきてそういうとまた教卓へと戻っていった。

「長野くんも授業を教えてくれる先生だから、質問があればまた聞けばいいよ。次行こうか」

そう言って井ノ原先生は教室を出ていったから追いかける。

「次は3年生の教室だよ」

一つ奥の教室の前で立ち止まった先生はまた扉をノックして開いた。

「あれ、坂本くん？授業はいいの？」

「話し声が聞こえてたぞ」

そう言って井ノ原先生に坂本くんと言われた人は俺たちの前に来て笑った。

「3年生の担任を務めてます、坂本昌行です。授業を教えることもあるから、よろしくね」

坂本先生が教室の中に入っていって、小山を連れて戻ってきた。

「井ノ原先生今案内中？」

「そうだよー、あとは移動教室で使う教室の案内かな。そろそろ行くから小山はちゃんと坂本くんの話聞きなよねー」

はーい、シゲと手越は後でねという小山の声を聞きながら井ノ原先生を追いかける。

「次は移動教室で使う教室の説明をするよ。詳しいことは一番最初の授業の時に説明するから、大体の場所を覚えるだけでいいよ」

そう言って井ノ原先生は渡り廊下を進んでいく。

「ここは専門教室棟。小学校と理科室とか音楽室とかの位置は階数が違うだけで変わらないよ。いったん戻ろうか」

井ノ原先生の後をついて教室がある棟へ戻る。

「こっちが保健室」

「あれー、井ノ原くんさぼりー？」

保健室から聞き覚えのある声が聞こえて手越と顔を見合わせる。

「ちげーよ、教室案内してんの」

井ノ原先生が手招きするので保健室に入る。

「あれ、祐也と成亮？」

「三宅先生！」

「はーい、久しぶり。そっか、もう中学生か」

三宅先生は薬剤師として小さいころから薬の飲み方などを教えてくれた先生だ。

知っている先生がいるということは少し心強い。