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「 何で生徒会長と一緒だったの?」
『 志望してる大学が同じなの 』
生徒会長と一緒にいたことを疑問に思っていた雄登は
帰り道 、やっぱり聞いてきたけど
思っていた以上に理由があっさりしていたからか
へーと興味無さそうな顔で欠伸してる 。
「 そういえばAはどこの大学志望してるの?」
『 えっと … お姉ちゃんと同じ 、大学 』
「 やっぱりなー 」
咄嗟に嘘を吐いた
雄登から離れないという言葉が嘘にならないように 。
「 もう受験勉強してる?」
『 まあ 、ぼちぼちかな 』
「 … じゃあさ 」
でも 、この嘘をついたことで
私は雄登に二重の嘘をついたことになる 。
「 夏祭り行こうよ 」
『 え?』
罪悪感が押し寄せる中で聞こえたその声に驚くと
一歩前で立ち止まった雄登が町の掲示板に
張り出されている夏祭りのチラシを指した 。
「 受験前にパーッと遊ぼうよ 」
地元の夏祭り 、
確か去年は大雨の影響で中止になったんだっけ 。
お姉ちゃんが廉くんと付き合う前に3人で行ったのが
最後だからもう2年も行ってなかった 。
『 いいけど 』
「 じゃあ決まりー 」
私の返事に眩しいくらいの笑顔を見せるから
きっとお姉ちゃんも含めた3人で行くんだと思った
『 でもお姉ちゃん帰って来るって言ってたかな?』
だから携帯をポケットから取り出して
メッセージアプリでお姉ちゃんとのトークを
開いたのに
「 今年は2人で行こうよ 」
『 … えっ 』
こんなこと言い出すから思わず携帯を
落としそうになったじゃない 。
「 2人じゃ不満でもある?」
『 違うけど 、いいの?』
「 … 姉ちゃんもいい加減に彼氏と行きたいでしょ 」
そんな切なそうに笑わないでよ 。
『 ん 、行こう 』
雄登の隣にいられるなら何でもいいと思った
きっとこれが一緒に行ける最後の夏祭りだと
…… そんな気がしたから 。
「 浴衣姿楽しみにしてる 」
その言葉はお姉ちゃんに向けたかったはず 。
『 ねえ 、まだお姉ちゃんのこと好き?』
「 当たり前じゃん 」
乾く唇を動かしながら必死に言い聞かせる 、
最後まで私はお姉ちゃんの代わりなんだと 。
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めろんぱん(プロフ) - このお話が大好きで完結後も定期的に読みにきます( ; ; )みるるんさんの作品大好きなのでこれからも応援してます! (2020年7月13日 4時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるるん | 作成日時:2019年6月16日 2時