【碧】Yuto.N (ページ7)

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暑くなれば暑くなるほどに
受験生という自覚が求められる。

先生「募集の締め切りが来ちゃいますよ」

『でも、まだ迷ってて … 』

先生「保護者の方は？」

『したいようにしなさい、と … 』

先生「週末の生徒向け説明会は参加しますよね？」

『はい』

進路室で難しい顔をした先生とマンツーマンで
話をするこの時間は少しだけ苦手。

ぼんやりとしか見えていない将来の決定を
急かされているようで。

先生「説明会なんだけどね … 」

先生が説明会の詳細を教えてくれようとした時に
進路室がノックされた。

先生「どうぞー」

失礼しますと一言だけ零し、
教室に入ってきたのはこの学校の生徒会長

確か … 高橋優斗くん。

先生「高橋くんも座って」

優斗「はい」

私に軽く頭を下げて隣に腰掛けた彼。

先生「高橋くんもこの大学を受験する予定なの」

軽く相槌を打つと先生は生徒向けの説明会だから
2人で行ってねなんて言いながら詳細の紙を渡した。

先生「じゃあ気をつけて帰って」

『はい』

優斗「失礼しました」

説明を受けた私達は進路室を出たけど

『 …… 』

優斗「 …… 」

3年間クラスも違えば話したこともない
ただ私が一方的に知っているだけの生徒会長との間に
気まずい空気が流れた。

優斗「 … 椎葉Aさん、だったっけ」

『あ、そうだよ』

優斗「会場の最寄りに10時でいいかな」

『えっ？』

いきなりの問い掛けにびっくりしてしまった。

優斗「週末の説明会」

『あ、ああ … いいよ』

急いでさっきの紙にメモをすると
私のことを何故かジッと見ている生徒会長。

『 … 何か？』

優斗「別に」

いつも全校生徒の前で挨拶している姿は
好印象なのに、何だか冷たく感じた。

そんな時に聞こえた好きな人の声。

「 A 、何してるの？」

『あ。進路室に行った帰りだよ』

そう答えると隣の生徒会長を見ては
私の腕を軽く引っ張りながら帰ろうと言う雄登に
頷いて隣の生徒会長にぺこりと頭を下げる。

『じゃあ、また』

優斗「はい」

そのまま生徒会長に背中を向けた。

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