【碧】Yuto.N (ページ5)

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やっと、終わった ……

雄登が私から離れたから体を起こすと
いつもとは違った違和感があった。

何かが脚に伝っているのに気づく。

そこに手を伸ばし、
正体がわかった瞬間に青ざめる自分の顔。

『ゆ、雄登 …… 』

「ん？」

『 … してなかったの？』

私の震える声に雄登は澄ました顔をしている

いつもの罪悪感なんて全く無いみたいに。

「 1回くらい大丈夫だって」

『でも …… 』

「気にしすぎ」

無いとは思いながらも気にしない訳が無かった。

急いで衣類を身に纏ってトイレに駆け込み
彼の欲を掻き出す。

姉「 A？」

「 A 、体調悪いって」

姉「そうなの？」

「少し休ませてあげて」

姉「わかった」

トイレの外から聞こえたお姉ちゃんと雄登の声。

思わず掻き出していた手を止めたけど
こんなことしてるってお姉ちゃんにバレたら
どんな顔をしたらいいのだろう。

「お疲れ」

コンコンッとトイレの扉をノックされた後に
聞こえた雄登の声に目頭が熱くなった。

止めていた手を再開させると
まだ出てくるそれに力が抜ける。

お姉ちゃんを想って出されたそれが
私の中にある訳で。

『もう … 嫌だ …… 』

万が一の不安を抱きつつも
お姉ちゃんの代わりは嫌だと私の心が叫んだ。

「心配性だね」

もういいだろうとトイレから出ると
後ろから聞こえた声。

『 … もし出来たら困るから』

「うん、俺も困るわ」

ヘラッと笑う雄登。

「だって本当に弟止まりになっちゃうからねー」

『 …… 』

「これからはちゃんと着けるから」

ごめんと謝り、階段を降りた彼に溜息が出た。

『 …… 罪悪感はあったんだね』

お姉ちゃんの代わりでいい。

彼を受け入れてしまった時からずっと
そう思っていたはずなのに
代わりは嫌だと思うのは私の我儘なのか …

姉「 A 、体調は大丈夫？」

『もう大丈夫』

リビングに降りると眉を下げて
心配してくれるお姉ちゃんに言える訳がない

『ごめん、水貰ってもいい？』

姉「今入れるね」

貴方の代わりになっています、なんて。

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