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神父の祈祷が終わったところで
新郎と新婦が此方を向いた 。
優斗「 本日 、私達2人の為にご参列頂き
ありがとうございます 」
頭を下げるあの人に続いて頭を下げる彼女の
表情はよくわからない 。
優斗「 私 、高橋優斗はAさんを生涯の妻とし
病めるときも富めるときも貧しいときも
妻として愛し 、敬い 、いつくしむことを誓います 」
胸元に手を置いた彼女 、
きっと緊張して深呼吸したんだな …
そう思ったのと同時に
姉ちゃんの結婚式であの人が言った言葉を思い出した 。
優斗「 でもドラマとかであるからさ 」
「 えっ?」
優斗「 花嫁を連れ去る 、とかさ 」
……… 思わず唾を飲んだ 。
諦められないのは確かだが
そんなことを出来る訳がない 。
それにAは幸せになると言った …
俺がこれ以上 、
彼女の手を掴むわけにはいかないんだ 。
『 私 、Aは優斗さんを生涯の夫とし … 』
でも同じ名前だということが
こんなにダメージを与えてくるとは 。
『 病めるときも富めるときも貧しいときも
妻として愛し 、敬い 、いつくしむことを …… 』
愛おしさがまだ募る一方だけど
今此処でこの気持ちに区切りを付けるよ …
Aが幸せになる為に 。
誓いを聞き終えたらAが言った通り 、
全てを無かった事にしようと思ってるのにさ
『 …… 』
優斗「 A?」
…… どうして君はその先を言わないの?
あまりに続きを言わないものだから
スタッフも両家も騒つく会場内 。
隣の姉ちゃんですら
心配そうな目で見ている 。
『 …… あの …… 』
小さく聞こえたAの震える声 。
そしてドレスのレース部分をきゅっと握った彼女と
「 …… ッ!!」
ベール越しに目が合った 。
ベールを被った彼女の
俺を見つめている目には少しも碧は見えなくて 。
それに気付いてしまったら
全てを無かった事にするなんて俺には無理なようだ 。
姉「 雄登!?」
いきなり立ち上がった俺に
隣の姉ちゃんが驚いた声を上げて
周りも余計に騒ついた 。
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めろんぱん(プロフ) - このお話が大好きで完結後も定期的に読みにきます( ; ; )みるるんさんの作品大好きなのでこれからも応援してます! (2020年7月13日 4時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるるん | 作成日時:2019年6月16日 2時