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032. ページ32

..






『 …… 』

「 ね 、遅すぎるって何?」













カフェラテを片手に聞くと最初こそは
口を固く結んでいたが諦めたのか口を開いた 。









『 それは 、今だから言える事だけど … 』

「 うん 」

『 その … 昔 、好きだったから … 雄登のこと 』









小さく早口で言った言葉の数々を
すぐに理解した 。









目の前の彼女は
恥ずかしそうに顔を赤らめている 。









『 でも 、今は優斗がいるから 」

「 だから遅すぎるの?」









控えめに頷き 、左手薬指のリングを見つめるAに
どうしようもない気持ちになる 。









「 このままあの人と結婚するの?」

『 うん 』

「 それで幸せになれるの?」

『 … なるよ 』

「 じゃあ何で幸せそうな顔してないの?」

『 …… 』









こういう時 、黙っちゃう癖 。


あの人は知ってる?












「 …… 好きだよ 」

『 雄登 、』

「 好きだから俺から離れないで 」

『 … 駄目だよ 、私達間違ってたんだよ 』









首を振って席を立つ彼女 。









『 どうか無かった事にして … 忘れて … 』









伝票を手に取り
座ったままの俺の隣を過ぎて行った 。









動けないままの俺に
カランコロンと心地の良い音が届いて

Aが店を出たとわかり
急いで喫茶店を出ると大雨が降っていた 。









「 傘持ってねーよ … 」









Aも傘を持っていなかったはずだと
周りを見渡すと少し向こうで
タクシーに乗り込む彼女の姿が見えた 。









そこから気付けば横なぐりになってきた雨の中 、
走り出すタクシーを傘も持たずに走って追いかける俺








周りから見ればさぞかし滑稽だろう 。









「 待って!行かないで!」











叫んでも届かない声 。














足の速さには自信があったつもり 。











だけどAを乗せたタクシーが水しぶきを上げ
遠ざかって行った 。













「 …… 本当に遅すぎたんだな 、ははっ 」









..

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めろんぱん(プロフ) - このお話が大好きで完結後も定期的に読みにきます( ; ; )みるるんさんの作品大好きなのでこれからも応援してます! (2020年7月13日 4時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるるん | 作成日時:2019年6月16日 2時

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