【碧】Yuto.N (ページ29)

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悔しくてたまらなかった。

右手に持ったカフェオレの缶を潰しそうだ。

優斗「詳しい事はAにまた伝えさせるよ」

「 … はい」

優斗「じゃあまたね」

手を振るこの人に軽く頭を下げて
また背を向けて次こそ踏み出そうとしたら

優斗「あ、那須くん」

また呼び止められた。

優斗「先月、Aが朝に帰って来た事があって」

頭だけ振り向くと
次は睨むように俺を見ていた。

優斗「何にも言わないんだよね、その日の事」

「 …… 」

優斗「那須くん何か知らないかな？」

疑っているのか、わかっているのか。

「いえ、知らないです … 」

この人にあの日の事を何も言わないということは
やっぱりAは俺とは無かった事にしたんだなって。

だから俺も知らないと言った訳だけど

優斗「そう？」

この人の表情の変わり様には怖気付いてしまう。

さっきまでの睨んでいた目は？
と思うくらいニコニコして俺を見ている。

「 Aとは連絡すら取っていないので」

優斗「そっかー … それなら全然いいんだよ」

引き留めてごめんね

そう言いながら手を振って
次こそ俺の歩みを止めなかった。

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