【碧】Yuto.N (ページ18)

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018. ページ18

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『雄登』

ポロポロと涙を流す彼は
小さな歩幅で私の前まで来て

「 … ごめん」

そう一言呟いた。

『 …… 』

「ごめんなさい」

いつもしっかりセットしている髪は
少し崩れていて、走ったのかな？なんて。

「 …… 」

雄登が涙を流している姿は
いつぶりに見たかわからないくらいで。

こういう時どうやって落ち着いてたかな？と
昔の記憶を思い出して

『 …… あげる』

ポケットに入れていたいちごみるくの飴をひとつ
雄登の掌に乗せた。

「 …… いちご、みるく」

飴を見て余計に涙を流す雄登。

これをあげたら喜んでいたはずなんだけど
違ったかなっておろおろしていると後ろから声がした

『あ、高橋くん』

優斗「そろそろ時間だよ」

『本当だ』

慌てて時計を見るとギリギリの時間で。

『雄登、私もう行くね』

「 …… 」

『元気でね？』

「 …… 」

『 … じゃあね』

何も言わずにいちごみるくの飴を見つめる雄登に
背中を向けようとしたら掴まれた右手。

「行かないで」

『 … 雄登』

「 …… 離れないで」

崩れた前髪の隙間から見えた雄登の真っ黒の目には
私の目が写し出されていて

『碧だ …… 』

「え … 」

その私の目があまりに
クリアな碧だった為に私の気持ちは軽くなった。

『 … ごめんね、雄登』

雄登の手を放して私は日本を飛び立った。

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