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..
「 …… A 」
『 …… あ … もしかして 、雄登?』
久しぶりに聞いた声は最後に聞いたあの時と
何も変わっていない 。
「 … うん 、久しぶり 」
『 元気だった?』
頷けば微笑むのもあの頃と何も変わらない 。
「 ニューヨーク 、どうだった?」
『 んー … 一言で言えば大変だったよ 』
「 いつ帰って来たの?」
『 卒業してすぐに 」
いや 、何も変わっていないようで変わっている 。
「 …… そっか 」
『 あ … 私 、お姉ちゃんに会ってくるから 』
また後で 、そう言って俺がさっき追い出された部屋に
入って行ったAの目は何処かキラキラしていて
眩しいくらいだった 。
4年前までは全く見ることの出来なかったその目に
少しだけ嫌な予感がした 。
「 那須雄登です 」
受付「 どうぞー 」
長年想っていたはずの姉ちゃんの結婚式だというのに
姉ちゃんのウェディングドレス姿よりも
久しぶりに会ったAの姿の方が目を惹かれたのは
4年という月日が流れたからか 。
式が始まるまで後少し
チャペルの白い壁をじっと見つめていると
隣失礼します 、と話しかけてきた誰か 。
「 あれ … 」
優斗「 久しぶり 、那須くん 」
隣に腰掛けたのは生徒会長 …… だったはずの人 。
…… 何で隣なんだよ 、てか何で此処にいる?
頭の中で色々考えるけど何も解決しない 。
時間もまだっぽいし 、とりあえず気まずいから
一度トイレにでも立とうかと思えば
生徒会長が口を開いた 。
優斗「 お姉さんを振り向かせられなかったんだね 」
…… いきなり何を言い出すんだよ 、この人は 。
優斗「 この席に座ってるってことはそうでしょ?」
「 … ははっ 、そうです 」
優斗「 まだお姉さんのこと好き?」
「 … 何言ってるんですか 」
優斗「 だよねー 、ごめんごめん 」
今から式だというのに何を聞くんだ 。
優斗「 でもドラマとかであるからさ 」
「 えっ?」
優斗「 花嫁を連れ去る 、とかさ 」
今まで俺の方を見ずに話してた生徒会長と
目が合った途端 、嫌な予感はこの人のことだと悟った
..
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めろんぱん(プロフ) - このお話が大好きで完結後も定期的に読みにきます( ; ; )みるるんさんの作品大好きなのでこれからも応援してます! (2020年7月13日 4時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるるん | 作成日時:2019年6月16日 2時