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012. ページ12

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「 はい 」

『 ありがとう 』









戻ってきた雄登から
手渡されたパックのいちごみるく 。









花火が上がるまで後3分






ブランコをギイッと揺らして
いちごみるくにストローを挿した時 、

雄登の携帯が鳴った 。









「 … ちょっとごめん 」

『 うん 』









眉を下げて電話に出た雄登を横目に
いちごみるくを飲む 。









とても甘いのにどこか酸っぱい気がした 。









「 えっ?ちょ … 」

「 今どこ?」

「 何?」

「 … うん 、すぐ行く 」

「 待ってて 」









花火が上がるまで後1分 、
何だか焦った声が聞こえて嫌な予感がする 。









そんな予感 、外れて欲しいと願うけど



電話が終わったらしい雄登は
何だか険しい顔で予感が的中したんだと
嫌でも理解してしまう 。












『 どうしたの … 』

「 ごめん!俺 、すぐ行かなきゃ …… 」

『 え … 』

「 本当にごめん … 一緒に花火見れない 」









勢いよく頭を下げた雄登に
意味が分からず思わずブランコから立ち上がる 。











「 姉ちゃんが … 泣いてるんだ 」









立ち上がった途端 、
またギイッとブランコの音がしたけど





そんな音も耳に入らないくらい
雄登の声がクリアに聞こえた 。









「 泣いてる姉ちゃんを放って置けない …… 」









鼻緒に擦れた足が少し痛んだけど
そんなの全然気にならないくらいに心が痛くなった 。









『 …… 行って 』









雄登が私の表情を伺うように顔を上げた





私は今どんな表情をしてるのか 。









『 早く 、早く行って!』

「 …… ごめんっ 」









私にしては珍しく大きめの声が出た 。












走って公園を出た雄登の背中が
角を曲がって見えなくなるとドンッと音が鳴って




空を見上げるとカラフルな花火が
いくつも重なるように打ち上げられていた 。












『 …… 綺麗だなー 』









憎いほど美しく 、
悲しいくらいに一瞬の出来事で




頬にツーッと何かが伝ったのがわかった 。












ああ 、雄登が去ってからで良かったと心底思う 。









もう一度ブランコに座ると
どこからか聞こえた 。


















_____ 椎葉さん?











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めろんぱん(プロフ) - このお話が大好きで完結後も定期的に読みにきます( ; ; )みるるんさんの作品大好きなのでこれからも応援してます! (2020年7月13日 4時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるるん | 作成日時:2019年6月16日 2時

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