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tn「じゃあ、行ってくるから」
『…あぁ、なんかあったら連絡しろよ』
トントンが母親の家に行く日
普通なら喜ばしいことだが
俺にとっては
どうしても行ってほしくなくて
でも、そんなこと言えなくて
最寄りの駅まで見送りに来てしまった
tn「…Aこそ、なんかあったら連絡してな?
すぐ行くから」
『ありがとう』
軽く手を振り、トントンが歩いて行くのを見守った
1人で家まで歩く
大学の帰りとか、バイトの帰りとか
いつも1人だったのに
なんだか今日は
やけに長く、静かに感じた
gr「………A」
『…グルッペン』
家に着き、鍵を開けようとしていると
後ろからグルッペンに声をかけられた
gr「大丈夫か?……やけに疲れ切っとるみたいだが」
『……………』
大丈夫じゃない
いつもならすぐに大丈夫だといって誤魔化していたのに
なんだか今日は、言葉が出なかった
言葉の代わりに出たのは
涙で
目の前に立つグルッペンの姿がにじんでいく
gr「おい……!」
泣くつもりなんてなかった
というより、泣くとは思ってなくて
頭の中がグシャグシャになって
gr「…家の中に入ろう」
俺の手にある鍵をグルッペンが取り
俺が開けるべきはずのドアを開けた
優しく手を引かれ、俺は中に入る
俺は玄関で座り込んでしまった
トントンがもう帰ってこないのではないか
またひとりぼっちになるのか
2週間でトントンが母親と親子関係をちゃんと取り戻してしまったら?
提案をしたことを後悔した
グルッペンが俺に目線を合わせるようにかがむ
gr「……なにがあったのか、話してくれないか?」
グルッペンは俺がした提案のことを知らない
……あぁ、なんてみっともない姿を見せてんだ……
あまりにグルッペンが大人びているから、時々忘れてしまう
コイツが年下であることを
俺は静かに頷き、靴を脱いでグルッペンをリビングに通した
グルッペンが俺に好意を向けているのも忘れて
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まるこ(プロフ) - こんなに泣く?ってくらい泣いてしまいました。素敵な作品をありがとうございます。これからも更新楽しみにしています。 (2019年3月31日 0時) (レス) id: 1aee9b3a02 (このIDを非表示/違反報告)
なみだめ - 更新ありがとうございます。主人公生き返ってくれて良かった… (2019年3月31日 0時) (レス) id: 3af461ac0d (このIDを非表示/違反報告)
暁月楓 - 続きありがとうございます!頑張って下さい! (2019年3月30日 14時) (レス) id: 1cdd0676ea (このIDを非表示/違反報告)
おつきみ(プロフ) - 【作者です!】皆さん感想本当にありがとうございます…!いつもニコニコしながら読ませて頂いております……!5では収まり切らず、6に突入すると思いますので…長いな!とお思いの方もいると思いますが、読んで頂けると幸いです! (2019年3月29日 17時) (レス) id: a31619cde8 (このIDを非表示/違反報告)
堤。(プロフ) - 小説を読んでこんなにボロ泣きしたの始めてです…トン氏とグルさんとかの気持ちを考えたらもう涙腺が崩壊しました…私の語彙力がないので、この感動を言葉に表せないです…他のところでも涙が止まらなかったです…wこれからも応援しています、頑張ってください! (2019年3月29日 12時) (レス) id: 2ab4d1e3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おつきみ | 作成日時:2019年3月21日 18時