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金子隆行side
ベンチのところに行くと、Aちゃんがポツンといた。
なんだか、いつもより、小さく見えた。
「ここ落ち着く?」
A「ごめんなさい・・・・」
「謝らなくていいんだ。怒りに来たわけじゃない。」
怒られると思ってたのか。
相当な頑張り屋ということはよくわかった。
言葉は見つからない。でも思い切っていってみることにした。
「つらいことないか。」
A「ありません。」
「正直に言ってほしい。
Aが治療がんばってるのは先生も看護師さん。お母さんもお兄ちゃんもみんなわかってるよ。
でも、つらいのに何も言わないで1人で我慢しているのは心配なんだ。
1人で我慢しないでほしい。言いにくいかもしれないけど、怒らないから。」
A「・・・・お母さんもお兄ちゃんも元気ないのが嫌。それって、私のせい?
私が病気になるから。だから、頑張って、2人も元気になるように。」
・・・・なんて、親孝行な子なんだろう。
俺がAぐらいの年の時なんてそんなこと考えたことなかったぞ。
そして、心が痛くなった。
「それは違う。Aは何も悪くない。
お母さんもお兄ちゃんもAのことが大好きだから。
病気になったのも誰も悪くない。」
A「本当?」
「うん。本当。
・・・・その気持ちお母さんとお兄ちゃんに先生と一緒に伝えようか。」
A「うん・・・・」
それで、みんな前向きになってくれればいい。
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作者名:さくらさん | 作成日時:2018年10月22日 19時