決断は、 ページ6
・
何て返して良いかわからなかった。
今は目の前の出来事を受け入れるだけで必死なのに、これからの未来のことも考えないといけないなんて。
ぬいぐるみの"のんちゃん"は私のことを知っていても、私は"のんちゃん"のことはほとんど知らない。
ただ、ぬいぐるみとして、私の側にずっといたってことくらいしか。
どんなぬいぐるみか、いや、どんな人かわからないまま、生涯一緒に過ごすなんて、すぐに決断出来ない。
「…少し、考える、時間を、ください、」
出てきた言葉はそれだけだった。
だって、今のこの状況からすぐにどうするか決断できなかったから。
「…わかった。」
のんちゃんは「そっか、そりゃそうよな。」って自分を納得させるように、何度もうなずいた。
「Aちゃん?
俺は、Aちゃんが考えて出した決断なら、どんな結果であれ、受け入れる。
そりゃ、一緒にいたいに越したことはないけど。
無理に俺と一緒にいるのは違う。
Aちゃんにつらい思いさせるために、ここに来た訳やないから。
やから、ゆっくりこの7日間考えて?
待ってる。」
のんちゃんの力強い目に見つめられ、身体は何故か硬直したままだった。
「…でも、出来れば嬉しい答え、聞かせてな?」
その言葉とともに、私に近づくのんちゃんの身体。
そして、ほんの一瞬、触れるように、私の唇にのんちゃんの唇が触れた。
「…ちょ、」
「待つって言ったけどなぁ…
我慢出来ひんかった!」
なんて、子どものような無邪気な笑顔を見せられたら、胸のどこかがキュンと音をたてて、私に抵抗出来なくさせていた。
・
839人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まみむ(プロフ) - shihok0712さん» ありがとうございます!ぬいぐるみだからこその何にも干渉されていないピュアさ、可愛いのんちゃんが出せるように頑張りました!笑 楽しんで頂けて良かったです!新しい物語はまたテイストが変わりますが、楽しんでいただけたら幸いです! (5月6日 22時) (レス) id: d382aa8d24 (このIDを非表示/違反報告)
shihok0712(プロフ) - 子供時代から大切にしていたぬいぐるみが人間になって恋をし合う,なんて素敵なファンタジーなんでしょう!のんちゃんの,元ぬいぐるみやったからこそのピュア感がたまらなく可愛いです。新しい物語も楽しみにしてます。 (5月6日 8時) (レス) @page48 id: ebf12df227 (このIDを非表示/違反報告)
まみむ(プロフ) - westtttttt2さん» コメントありがとうございます!最高の褒め言葉を頂けて嬉しいです!更新遅めで申し訳ないですがぜひまた読んでくださいね! (9月17日 20時) (レス) id: d382aa8d24 (このIDを非表示/違反報告)
westtttttt2(プロフ) - くまのぬいぐるみ 最高です!映像化してほしいくらいキュンキュンしてます!続きも楽しみにしてます!! (9月10日 7時) (レス) @page32 id: 9958797b82 (このIDを非表示/違反報告)
ももりん - 更新頑張って下さい。(リクじゃなくてすみません……) (2019年8月18日 22時) (レス) id: 03ea0da012 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まみむ | 作成日時:2016年3月17日 18時