くまのぬいぐるみ【Nozomu.K】

戸惑い ページ12

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いつもならテレビを観て、だらだらと過ごしてからベッドに入るのに、今日はテレビも観ずにベッドに入った。


なんとなく、のんちゃんと顔を合わせずらくて。


頭から布団をかぶって一人悶々とする。
こんな感情初めてでどうして良いかわからない。


ぬいぐるみが人間になるなんて、
その人とずっと一緒にいる約束をしろなんて、
突然やってきた出来事にどうやって対応出来る？


しかも、それがイケメンで、キラキラしてて、真っ直ぐで、甘くて、


…甘くて、


うわ！ダメだ、やっぱりいきなり来て受け止めきれる現実じゃない！





眠れないまま時間だけが過ぎていく。

ひょこっと頭だけ布団から出す。

窓から射し込む月明かりが戸惑う私を照らしていた。









しばらくしてドアの開く音。
布団の中に外の空気が入り込んだ。


私、一緒に寝て良いなんて一言も言ってないけど。
そんなことを思いながら寝てるふり。



後ろから手が伸びてきて、私の目の前にだらんと倒れてきた。
背中全体に感じる体温。


ただでさえ騒がしい心臓は、余計に騒がしくなる。
このうるさい心臓伝わっていないだろうか。




私だけなのかな、こんなドキドキして、




「おやすみ、…A」




後ろからの優しい声と共に、布団から出ていた私の手をぎゅっと握った。





初めて呼び捨てで呼ばれた。


気づいた瞬間から一気に顔に熱が集まるのがわかった。

しばらく動けない、というより動かない身体のまま、のんちゃんが握った手をただただ呆然と見つめていた。






「…あ、」





思わず声を出してしまった。


見つめていたのんちゃんの手には、腕には、


二つ目の花びらが描かれていた。
さっきのキスでだ。
また顔が真っ赤になった。




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