愛されたい症候群 短編集

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橙side



橙「めめー！ラウー？……おらんの？……そや、だてならおるよな？さっきご飯作ってくれてたもん。」



だての部屋に飛び込むも、当たり前にそこには誰も居らんくて。



橙「…………。しょった……？あべちゃ？てるにぃ？」



いつもは、名前を呼べば誰かが反応してくれてたのに、こんな日に限って家の中は嫌になるほど静けさが広がっている。



橙「さっくーん！」



明るい返事も返ってこない。



橙「……ふっかさんならおるよ。いつもそばにおるもん。」



そう思って自分の部屋に戻っても、そこに居るのはあの頃の俺の友達だけ。



あぁ。やっぱり見捨てられたんやなって、ストンと自分の心の中で理解をした。


そんな時に、玄関のインターフォンが鳴った。



誰か帰ってきたんやって嬉しくて、部屋を飛び出した。


でもインターフォン越しに映ってるのは知らない男で。



橙「いや、まっ、て、や……むり、だれ？だ、れなん……よ、」



よく考えたら分かるやん。


みんな家の鍵持っとるのにわざわざインターフォンなんて鳴らさんよ。


それに俺がこの音嫌いって知っとるのに。





そこから先は正直なところあんまり覚えてない。


あの後２回ほどなったインターフォンに、さらにパニックになった俺は、気付いたときには、みんなの服やら布団やらを持ち込んで物置で意識を失っていた。


今の時間も分からんし、みんなが帰ってきとるんかも分からん。


いや、帰ってこんか。俺の事なんて嫌いになったんやもんな。


そのまま、吸い込まれるようにまた眠りに落ちていった。

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