王子様の秘密【_そ_ら_る_】第一章 (ページ3)

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そらるside

俺は空川瑠衣。

親が会社を経営しているので、まぁ、金持ちのボンボンってとこ。

名前を出せば、みんな知っている大きな会社だ。

基本、俺様体質だけど、普段は周りから求められる王子様キャラ、優等生キャラを演じている。

俺は王子という仮面を被っていて、この本性に気づかれたことは、一度もない。

なぜ、本性を現さないのか？

単純に、俺がこのキャラを楽しんでいるから。

俺のことをなにも知らないまま、告白してくる人とかいて、正直笑える。

本性を知ったら、どうせ離れていくくせに。

休み時間、相変わらず目の前でキャーキャー騒いでる女に、俺はイライラしていた。

とりあえず、今日も話を合わせて、笑ったりして過ごすか。

いつもと変わらない日常だと、このとき俺は思っていた。

でも、あまりにうるさい女子の群れから逃げるために、トイレに入ろうとしたそのとき。

――ドンッ。

ひとりの小柄な女にぶつかった。

かわいい…

俺は無意識に思ってしまっていた。

一応、王子の仮面を被ってるし、女に大丈夫か尋ねた。

だけど、そいつは俺の顔を、無言で見てきた。

コイツも他の女と同様に、俺に惚れたか…。

だけど、肩に触れようとすると、女は「触んないで」とだけ言って、去って行った。

なんだよ？

俺に惚れたんじゃないのかよ。

男を無意識に惹きつける顔立ちだった。

だけど、他の女と違って、俺に強気の態度を見せたアイツ。

俺は不覚にも、

“アイツが欲しい”

と思った。

「そらる様？」

ぼーっとしていたようで声をかけられた。

だいたい、コイツらは、なんで様なんかつけてくるんだよ。

気持ち悪い。

そ「何か言ったかな？ごめんね？聞いてなくて…」

本当にベタベタしてきてウザい。

「もう。ちゃんと聞いててくださいよぉ！今日こそ、私を彼女にしてくれますか？」

女は、俺の腕に、胸を押しつけてきた。

なんでお前と付き合わなきゃいけないんだよ。

そ「ごめんね。僕は好きな子としか付き合いたくないんだ。」

俺は女の腕を外し、「またね。」と言うと、自分の教室に戻った。