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54.価値 ページ6

「豹馬…?」






大分走って来て、


体力のない私は普通に息が上がっている。



疲れ果ててしまって、思わず彼の名前を呼ぶ。







「…あ、ありがとう。








…いでででで!!!」






突然頬を引きちぎるかのような馬鹿力で


頬をつねられる。







「トイレ行くんじゃなかったのかよ。」



「…え、」







「逆方向だわ、ばーか。」









「え!?」










元々こうなることを予想してなかったから、



トイレの場所なんて知らなかった。








「ご、ごめん嘘ついて…。」




「…ん、欲しいもんあるなら

俺と一緒に行ってもいいだろ。



危ないから1人でうろうろすんな。」







お説教みたいなことをされてるけど、


豹馬の口調はずっと優しいものだった。









「…豹馬、はい。」



「…?」







もう、タイミングだとか気にせずに



紙袋を押し付ける。








「豹馬の好み分からなかったけど…


さっきのお礼。」





「…俺に?」







彼は紙袋を受け取って、


ガバっと中を開く。







「ね、値段的にはあまり返せてないけど…。」





「そんなの別に…。


てか、お礼なんて必要なかったんだけどな。」







そんなことを言われて、


やっぱり気に入らなかったかな、なんて思い


少し俯く。













「…でも、



俺のためにお前が選んで買ってくれたってだけで、





十分すぎるくらい嬉しいよ。」















“ありがとう”と優しい笑顔でお礼を述べた彼に



気がつけば見惚れていて。









なんとなく顔が熱くなった。



















お母さん達と

ショッピングモールの駄菓子屋の前で待ち合わせ。




あのあと豹馬とお昼を食べて、


ぶらぶらお店を回って過ごした。










「そういえば、明日にはもう帰っちゃうの?」



「そうだな。

母さんの仕事の都合で。」







本当なら今週いっぱい居られるはずだったのだが、


急遽明日帰ることになったそう。







「俺が帰るのは寂しい?」



「…そりゃあ…。」






寂しいに決まってる。






「姉ちゃんはこっちにいるし、


また近い内に来るだろうから心配すんな。」





ぽんぽんと優しく頭を撫でられれば、

何故か安心してしまった。



 









「豹馬〜!!Aちゃん〜!!」





そんなとき、


おばさんが私達を呼ぶ声が聞こえてきた。

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照山紅葉(プロフ) - むぎちゃさん» わ〜!!ありがとうございます!滅茶苦茶嬉しいです🥲今後とも宜しくお願いします〜! (2月16日 20時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 凄く面白くて最初から一気見しちゃいました(笑)これからも応援していきます! (2月15日 21時) (レス) @page19 id: 2c26ffe894 (このIDを非表示/違反報告)
照山紅葉(プロフ) - 咲夜(さくや)さん» ありがとうございます!波が激しくてすみません、引き続き頑張ります💪 (2月4日 10時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(さくや)(プロフ) - 更新頑張ってください (2月3日 20時) (レス) id: d8724d6f23 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:照山紅葉 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年2月1日 7時

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