53.道案内 ページ5
店を出ると、
買った腕時計は肩から下げていた小さなバッグにしまい、
ショルダーバッグの入った紙袋を片手に握る。
よし、
豹馬は果たして受け取ってくれるのか
楽しみでもあるけど、
少し不安でもある。
今まで豹馬にあげてきたものと言えば、
私が手作りしたものばかりだった。
豹馬の為に、こんなふうにわざわざ
高いお金を払って何かを買ったことは無かった。
それだからか、
あまり自信が無い。
幼馴染みなのに、
豹馬のことをまだまだ知らないような気がして
ちょっと寂しくなる。
サッカーのことも脚のことも、
あまり教えてくれなくなった。
やっぱり、
物理的に距離が離れてしまったと同時に
心の距離も離れてしまったのだろうか。
私は豹馬にとって
そんなに頼りない存在なのかな。
だけど自分で聞こうとは思わない、
豹馬が話したいときでもいいから、
いつかちゃんと、私にも打ち明けて欲しいな、
なんて思ったり…
「おっ、お姉ちゃん今1人？」
「？」
突然、若い男の人に肩を掴まれた。
「道に迷ってんだけどさ、
最寄りの駅まで案内してくんね？」
「最寄りの駅ですか？
駅ならここを真っ直ぐ行って…」
「あ〜違う違う、
そんなんじゃ分からないから連れてってよ。
なんか奢るからさ♪」
「別に奢ってもらわなくても…
本当に真っ直ぐ行くだけなんですけど。」
「い〜じゃん、ほら、案内して。」
がっしりと二の腕を掴まれ、
強制的に連れていかれる。
…道案内なら私じゃなくても良くない？？
そんな疑問が頭に思い浮かぶと、
これは俗に言う『ナンパ』というものなんだろうか、
なんて思ってしまった。
ていうか、私そんな可愛い顔してないんですが。
全くモテないし。
やっぱりナンパには顔とかそういうの関係ないのかな。
「おい」
背後から低くて真っ直ぐな声が聞こえたと思えば、
私の腕を掴んでいた手がパシッとはたかれる。
「お前のもんじゃねぇ。
触んな。」
見慣れた赤髪が目の前に現れ、
さっさと私の手を引いて駆け出す。
先程の男性とは違う、
優しくて暖かい手だった。
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照山紅葉(プロフ) - むぎちゃさん» わ〜！！ありがとうございます！滅茶苦茶嬉しいです🥲今後とも宜しくお願いします〜！ (2月16日 20時) (
レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 凄く面白くて最初から一気見しちゃいました(笑)これからも応援していきます！ (2月15日 21時) (レス) @page19 id: 2c26ffe894 (このIDを非表示/違反報告)
照山紅葉(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» ありがとうございます！波が激しくてすみません、引き続き頑張ります💪 (2月4日 10時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 更新頑張ってください (2月3日 20時) (レス) id: d8724d6f23 (このIDを非表示/違反報告)
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