授業以外で自分の席にいることが許されないのですがー夏休み編ー【御影玲王】

52.お返し ページ4

気がついたら

アクセサリーから洋服まで買ってくれていた豹馬。






流石にびっくりしたし申し訳なかったけど、


良かれと思って買ってくれた豹馬の厚意を

否定するのも不本意だったから、




めちゃくちゃ頭を下げて受け取った。






でも、やっぱりしてもらうばかりでは私も納得いかない。


ちゃんと返したい。




しかし、豹馬にバレたら絶対に遠慮される。









どうしようか…。












まず、豹馬が喜ぶようなものがわからない。


長年一緒に過ごしてきたとはいえ、



コイツが好きなのは


黒猫、かりんとう饅頭、サッカー…。






そんなもの、ここらへんの店には置いてない。










何か良いものはないのか。


辺りを見回し、パッと目についたお店。









「豹馬、私ちょっとお手洗い行ってくるね。」




「おう、場所分かるのか？」



「うん、分かってる！豹馬はここで待ってて。」







は〜い、と手を振りながら私を見送ってくれた豹馬。



嘘をついて申し訳ないけど、


こうでもしなきゃ一人で行かせてくれない。



















入ったのはお洒落なメンズのバッグやアクセサリーのお店。




お金をそんなに持ってない私だけど、


取り敢えず頑張ろうと思う。
















このショルダーバッグ、斜めがけだし


使い勝手も良くて良いかも。




デザインも私は好みだし、


なんなら豹馬も好きそう。











…結構良いお値段だけど我慢しよ。



















お会計に行こうとレジに向かっている途中、



















思わず後ろを振り返ってしまった。



















「…あ。」



















これ、めちゃくちゃアイツっぽいな。



金色で縁取られたゴージャスなデザインの腕時計。





見るからに高そう。






だけど文字も見やすくて、



全体的に紫っぽい色をしているのが

また高級感を引き出している。








「…いや、お金なくなる…。」










だけど、捨てがたい…。



















もう良いや。


















「…買お。」















残高は駄菓子を買えるか買えないかくらいに減ってしまったものの、


ギリギリだけど払ってしまった。






豹馬に関してはさっきのお返しだけど、





豹馬じゃなくてアイツのためにこんなにお金使った私は


正真正銘馬鹿だと思った。

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