72.安心 ページ24
いきなり頬をつねられる。
「なんでこんなところに一人でいるんだよお前は。」
「い、いひゃい」
逸れてしまったものは仕方がないじゃん!!
「スマホはちゃんと充電しとけ!
人混みに行くな、ちゃんとお互いに見つけられる距離に居ろ!」
「はい…。」
しょも、っとしていると、
玲王は私の頭を撫で始めた。
「…心配するだろ。」
「…ごめん。」
食堂からは遠いだろうに、
暑い中こんなところまでわざわざ探しに来てくれたんだ。
私のことを、心配してくれていたんだ。
「ありがとう、玲王。」
申し訳無さもあるけど、
ちゃんと見つけてくれて嬉しかった。
「…もう逸れるなよ。」
そんなことを言いながら、
私の手を取る。
「食堂行くぞ、
皆待ってるからさ!」
玲王の大きな手が、
優しくて温かい手が、
私の手を包み込む。
力強く、それでいて優しく引っ張ってくれるその腕は
いつもみたいな安心感があった。
「すぴー…」
「…爆睡だな。」
泣きつかれたのだろうか、
夏ちゃんが私の腕にしがみついて寝息を立てている。
夏ちゃんだけではない、
帰りのバスの中と言うのは、
寝てる人なんて殆どである。
そして何故か、
私の隣には玲王がいるのだ。
「お前を見た瞬間、
馬鹿みたいに泣きじゃくってたもんな。」
「めちゃくちゃ心配かけてたみたいだね…」
それは本当に申し訳ない。
「それに結構歩いたしな〜。
大学があんなに広いって思わなかったから、
俺らも迷子になるところだったし。」
「まぁ、そうだよね。」
もうどこかの夢の国みたいな、テーマパークみたいな広さだったし。
「大変だったけど、
楽しかったね。」
遊びで来たわけではないんだけど。
「なんやかんやな、
やっぱ、みんなでこういうのも悪くねーな。」
ニッと笑いかける彼に
私も微笑み返した。
それと同時に、フワッとあくびが出てしまう。
「眠いか?」
「んん…ちょっと…」
「ん、寝とけよ、
まだ東京まで長いし。」
軽くあと3時間くらいかかるみたい。
流石にそんなに起きてられる自信もないし、
私は迷うことなく重い瞼を閉じた。
自分の頭がいつの間にか玲王の肩に乗っているというのも知らずに…
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照山紅葉(プロフ) - むぎちゃさん» わ〜!!ありがとうございます!滅茶苦茶嬉しいです🥲今後とも宜しくお願いします〜! (2月16日 20時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 凄く面白くて最初から一気見しちゃいました(笑)これからも応援していきます! (2月15日 21時) (レス) @page19 id: 2c26ffe894 (このIDを非表示/違反報告)
照山紅葉(プロフ) - 咲夜(さくや)さん» ありがとうございます!波が激しくてすみません、引き続き頑張ります💪 (2月4日 10時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(さくや)(プロフ) - 更新頑張ってください (2月3日 20時) (レス) id: d8724d6f23 (このIDを非表示/違反報告)
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