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51.贈り物 ページ3

「…ど、どう?」




試着室のカーテンを恐る恐る開けて、

俺の前に姿を見せるA。


















「…。」












いや、思いの外…









似合ってんな…。





日頃見ている同じ人間なのに、


格段に可愛くなった気がする。










「…豹馬?」






「やっぱ、花柄似合うよなお前。」









今日着ていた服も似合っていたし、


むしろコイツのジャージ姿とか部屋着姿しか見たことなかったもんだから、




私服姿がやけに輝いて見える。






「…すげえ似合ってる。可愛い。」





そんなことを言えば、


Aは少し照れたように頬を赤くする。







なんだ、


俺の前でもそんな顔出来んじゃねえか。



















試着していた服を脱いで受け取れば、


即会計しに持っていった。








想像以上に良いお値段だったけど、





好きな女のためなら

服の1つや2つくらいは、



男の俺が払ってもバチは当たんねえよな。








「豹馬!」




着替え終わったのか、


試着室から戻ってきたA。




髪が少し乱れている。

慌てて着替えたのが丸わかりだ。







一旦店の外に出て、


傍にあるベンチに座らせる。



でっかい紙袋は自分の背中に隠し、


黙って後ろを向かせた。







「そんなに慌てて着替えなくても良かったんだけど。」





彼女の髪ゴムを解き、


優しく手ぐしで整え、編み込み始める。






「ご、ごめん。」


「本当にお転婆だな、お嬢様は。」













ホント、何も変わってねえな。
















俺が好きなAのまんまだわ。













編み込みが終われば、


そっと彼女の耳に指先で触れる。



ビクッと反応してしまう彼女が可愛らしくて、


クスッと笑ってしまう。






その小さな耳たぶに、

背後から小さな飾りを取り付けた。






「…何?」



「…プレゼント…?」








ビビッドピンクの石が吊り下がった、


シンプルなデザインのイヤリング。




アクセサリーなんて殆ど持ってないと分かっていたから、


なんとなくプレゼントしたくて買ってしまった。









「…なんか、豹馬みたいな色。」




「そ、これで寂しくねえだろ?」







見ただけで俺を思い出させるもの、


そんな物をプレゼントしたかったというのが本音。







だけど、心から嬉しそうなAの顔を見たら、






そんなこと

コイツが知る必要はないと思った。

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照山紅葉(プロフ) - むぎちゃさん» わ〜!!ありがとうございます!滅茶苦茶嬉しいです🥲今後とも宜しくお願いします〜! (2月16日 20時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 凄く面白くて最初から一気見しちゃいました(笑)これからも応援していきます! (2月15日 21時) (レス) @page19 id: 2c26ffe894 (このIDを非表示/違反報告)
照山紅葉(プロフ) - 咲夜(さくや)さん» ありがとうございます!波が激しくてすみません、引き続き頑張ります💪 (2月4日 10時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(さくや)(プロフ) - 更新頑張ってください (2月3日 20時) (レス) id: d8724d6f23 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:照山紅葉 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年2月1日 7時

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